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【後編】従業員から残業代請求されたら確認すべき5つのポイントと対処方法について

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2019年06月03日
  • 労働問題
  • 残業代請求されたら
【後編】従業員から残業代請求されたら確認すべき5つのポイントと対処方法について

前編では、雇用者側が従業員に対して残業代を支払わない際のリスクを中心に解説しました。残業代を支払うことは、使用者側の義務です。たとえ自治体であっても、義務を果たさなければ中郡二宮町の例のように、何らかの処分を下されることになります。

後半も引き続き、残業代請求をされたらできること、すべきことについて、川崎オフィスの弁護士が解説します。

3、残業代を請求されたときに確認すべき5つのポイント

従業員に未払い残業代の支払いを請求されたとしても、それが法的に合理的なものでなければ応じる必要はありません。

まずは、以下の点について確認しましょう。

  1. (1)時効は成立していないか?

    従業員が会社に対して残業代の支払いを請求する権利は、労働基準法第114条の規定により給料支払日の翌日から2年で時効となり消滅します。

    ただし、時効は従業員から残業代の支払いを求める「催告」を内容証明郵便で送付されると、6ヶ月間延期されます。そして会社に内容証明郵便が送達されてから6ヶ月以内に従業員が訴訟を提起すると、時効は中断してしまいます。

    なお、民法改正により、早ければ令和2年から消滅時効は5年に延長される見込みです。もし残業代請求をされているのであれば、早期に対応したほうがよいでしょう。

  2. (2)従業員は管理監督者にあたるか?

    労働基準法第41条第2項では、企業はいわゆる管理監督者に対して残業代を支払わなくてもよいと規定しています。労働基準法や厚生労働省の見解によりますと、ここでいう管理監督者には以下のような立場の従業員が該当します。

    • 会社の重要な意思決定に関与していること。
    • 人事権があること。
    • 労働時間を従業員自身で決める権限を与えられていること(労働協約による合意や労働基準監督所へ届け出済みなどの要件あり)。
    • 他の従業員と比較して、高い給料をもらっていること。


    上記に該当せず、担当部長や担当課長のような役職名だけを付けている「名ばかり管理職」は、残業代を支払わねばならない対象となる可能性が高くなります。さらに、管理監督者に該当しても深夜労働に対する割増賃金は支払う義務がありますのでご注意ください。

  3. (3)証拠はあるか?

    従業員が会社に残業代を請求するためには、残業をしていたという事実と残業代が支払われていない時間を主張するための証拠が必要です。この証拠がなければ、従業員からの残業代請求を認める必要はありません。

  4. (4)証拠に基づく残業時間は適切か?

    従業員は残業した事実と実際に残業した時間を証明する証拠として、タイムカード・パソコンのログイン記録・会社のパソコンから送信したEメール・業務日誌・勤務シフト表などを提示してくると考えられます。従業員が自ら記した勤務時間の記録が証拠と認められるケースも少なくありません。

    これらの証拠から実際に残業した時間と本来支払われるべき残業代を計算し、実際に支払われていた残業代との差額を会社に請求してくるでしょう。しかし、いくら出退勤時間が明確であっても、勤務時間内に法定休憩時間を越えた私用外出や度を越えたタバコ休憩などの職場離脱行為が認められる場合は、その時間に相当する残業代を支払う必要はないと考えられます。

    管理面から難しいこともありますが、のちのちの紛争対策として就業時間中における従業員の行動については記録を取っておくことが望ましいでしょう。

  5. (5)残業を禁止していたか?

    以下のような要件のもとで会社や上司が明確に残業を禁止していれば、従業員が残業していたとしても会社都合の残業とは認められません。

    • 客観的に残業が必要ない程度の仕事量であること
    • たとえ時間内に終わらない仕事量だとしても、上司や他の従業員に引き継いだうえで定時に退社可能な体制があること。


    使用者側で、明らかに労働者が勝手に残業していたといえる状況だったことを証明できれば、残業代を支払う必要はないと考えられます。

4、労働者から残業代を請求された場合の対処方法

以下のステップを踏まえたうえで会社に落ち度があったと認められる場合は、すみやかに未払い残業代を支払うことで問題の解決を図るべきでしょう。もちろん、残業代の支払い逃れを行うことはおすすめできません。

  1. (1)会社の体制不備を調査する

    「残業代が適性に支払われていない」など、従業員から不満の声があがった場合は、会社の内部管理体制および労務管理体制における不備の有無について確認しましょう。これに不備があった場合は会社の違法性を疑われることもあります。すみやかに是正しましょう。

  2. (2)従業員と対話する

    残業代の支払いを求める従業員の主張は、就業規則や労働関連法令に照らすと的外れな場合もあります。まずは従業員の主張をよく聞き、就業規則や労働関連法令および会社が把握している事実から明らかに不当な点があれば、その旨をしっかりと主張してください。

    もし従業員から会社が把握している勤怠記録などの開示を求められた場合は、労働審判や裁判などに移行した際に「会社は誠実に対応した」という客観的事実を残すため、できるかぎり応じたほうがよいでしょう。

  3. (3)残業代請求に関する労働審判の請求や内容証明が届いたら?

    この時点で、従業員は会社と争う意思があるとみてよいでしょう。もし従業員の代理人である弁護士から届いた場合は、会社だけで動くべきではありません。対等な交渉をするためにも、会社も同様に弁護士に依頼することを強くおすすめします。

  4. (4)労働基準監督署から指導・監督が入ったら?

    企業や経営者が労働関係法令を遵守しているかについて監督している労働基準監督署は、残業代の未払いなど法令違反がある会社や使用者に対して逮捕・送検・告訴などを行う権限を有しています。

    もし従業員の訴えにもとづき労働基準監督署が指導・監督に入った場合は、誠実に対応する必要があります。間違っても無視したり、虚偽の事実を申述したりしてはいけません。より不利な状況へ陥る可能性が高まってしまいます。

5、まとめ

これまで述べたとおり、残業代の支払いは会社の義務です。残業代の未払いは社会問題化しており、これに対する当局や司法の目は厳しくなりつつあります。これは決して軽く考えるべきではなく、慎重かつ誠実に対応する必要があります。そして、この問題は会社単独で取り組むべきものではありません。

もし従業員から未払いの残業代を請求されたら、すぐに弁護士に相談してください。未払い残業代など労働問題の解決に向けた従業員との交渉や裁判などの対応に実績豊富な弁護士であれば、企業側勝訴判例などに基づいた的確なアドバイスと対策を行えます。もちろん、会社の代理人としての役割を担うことも可能です。まずはベリーベスト法律事務所・川崎オフィスまで、お気軽にご連絡ください。

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