交通事故被害に遭ったらすぐに確認! 弁護士費用特約を使うべき理由

2020年01月16日
  • その他
  • 交通事故
  • 弁護士特約
交通事故被害に遭ったらすぐに確認! 弁護士費用特約を使うべき理由

川崎市のホームページでは、過去5年間の交通事故発生状況が公表されています。川崎市全体では減少傾向にありますが、川崎区では微増しており、残念ながら、今後数十年間ゼロになることはないでしょう。だれもが事故の被害者になりうるといえます。

交通事故被害に遭ったとき、だれに相談していいかわからない、という方も多いでしょう。ご自身で保険会社と交渉することになり、本当にこれでいいのか不安に感じることもあるかもしれません。しかし、弁護費用士特約に加入している場合は気軽に弁護士に相談できますし、弁護士に依頼すれば、有利な条件で示談ができる可能性があります。

本コラムでは弁護士費用特約を使うメリットをベリーベスト法律事務所 川崎オフィスの弁護士が解説します。

1、弁護士費用特約とは?

弁護士費用特約とは、主に自動車保険に任意で付帯できる特約条項のひとつです。

弁護士に交通事故について相談したり、示談交渉を依頼したりすれば、着手金や成功報酬、事務手数料や日当などさまざまな費用が発生します。弁護士費用特約とは、弁護士に相談・依頼した際にかかる費用を保険会社が補償するという保険であり、あらかじめ契約時に決めてあった金額(ほとんどの商品で300万円)を上限に支払われることになります。

弁護士費用特約は、適用の範囲が意外と広く、

  • 記名被保険者(保険の契約者であることが通常です)
  • 記名被保険者の配偶者
  • 記名被保険者の同居の親族
  • 記名被保険者の子(別居であっても未婚であればOK)

上記の方々が使うことができますし、

  • 被害を受けた事故の際に乗っていた車の運転者の弁護士費用特約

も使うことができます。

ですので、事故にあってしまった場合は、自分が弁護士費用特約を契約していなくても、家族や運転者が加入しているかどうかを確認することをおすすめします。

2、弁護士費用特約を利用する2つのメリット

被害事故に遭った方で、弁護士費用特約に加入している場合、上限金額内であれば、原則として弁護士費用の全額が特約から支払われます。保険の等級などにも影響はないのでデメリットはありません。さらに、積極的に使った方がよい理由を解説します。

  1. (1)面倒な交渉を一任できる

    交通事故の被害に遭った場合、特に追突などのようにご自身の過失が0の場合には、自分で相手の保険会社の担当者と交渉しなければなりません。ケガをしている場合は、慰謝料や休業損害、通院交通費などについての、場合によって複雑な計算を必要とするわずらわしい交渉が発生します。ケガをしてつらい状態なのに、このような慣れない交渉を行うのは非常に困難ですので、大きなストレスを感じてしまうことでしょう。

    しかし、弁護士に依頼することで、保険会社との交渉をすべて一任できます。つまり、保険会社と一切話すことなく、治療に専念することができるのです。

    ケガの他に、あなたが物損事故の被害者になったときも、ご自身の車の評価額が納得できない、過失割合でもめているなどの場合に弁護士に交渉を依頼することができます。弁護士がしっかりと交渉すれば、有利な条件で示談ができる可能性も高まるでしょう。

    しかし、弁護士特約がない状態で弁護士に依頼すると、実際に受け取れる損害賠償金よりも弁護士費用の負担が大きくなる可能性があり、手間をかけても収支がマイナスになってしまうという結果になりかねません。しかし、弁護士費用特約があれば、自己負担なく交渉を依頼できますので、ご自身が望む解決に近づくことができるでしょう。

  2. (2)損害賠償請求額の増額が見込める

    そもそも、弁護士に交渉を依頼する最大のメリットは「受け取れる損害賠償金の増額が見込めること」にあります。交通事故の被害に遭い、ケガをしている場合は、相手から治療費や薬代だけでなく慰謝料や休業損害などを受け取れることが一般的です。

    特に慰謝料は、通院日数や期間に応じて支払われ、通院が長期化すると100万円以上になることもありますが、ご自身で保険会社と交渉した場合、保険会社は「自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)基準」と呼ばれる最低ラインともいえる算定基準にもとづいて慰謝料などを算出し、それ以上の交渉には応じないことが多いでしょう。

    ところが、弁護士が交渉に入れば「裁判所基準」という自賠責基準よりも慰謝料を高く計算できる基準で請求することができます。その他の費目についても、適切な額が受け取れるよう、さまざまなアドバイスを受けることもできるでしょう。残念ながら事故を原因とした後遺症(後遺障害)があるときは、後遺障害申請手続の代行を依頼することも可能です。

    すなわち、弁護士に依頼することによって、結果的に自分自身で手間をかけて交渉する場合よりも多い損害賠償額(示談金)を受け取ることができる可能性が高まるのです。

3、弁護士費用特約を利用する際の注意点

弁護士費用特約を利用する際には注意すべき点があります。依頼前に加入している保険会社に確認しておきましょう。

  1. (1)加害事故では使えない

    弁護士費用特約はご自身や家族が被害に遭った事故において、自身の損害を請求する場合のみ使うことができます。ご自身が加害者になってしまい、請求を受ける側である場合には、弁護士費用特約を使うことができません。たとえば、「事故の被害者から過大な要求を受けて困っている」というケースでは弁護士費用特約は使えないのです。

    ただし、「対物賠償責任保険」「対人賠償責任保険」に加入していれば、そこから弁護士費用を支払ってもらえる可能性があります。これらの保険から弁護士費用を支払う場合は、保険会社が認めた場合に限られますので、保険会社に相談してください。

  2. (2)保険会社の承認が必要

    弁護士費用特約は、弁護士に依頼する前に保険会社の承認が必要になります。
    ご自身の保険会社の担当者に、弁護士費用特約を使いたい旨を伝えた上で、どの弁護士に依頼するのかについて報告してもいいですし、依頼した弁護士に任せてもいいでしょう。

    弁護士が決まっていない場合は、保険会社の紹介を受けられる可能性もありますが、より有利な状況で交渉してもらうためには、交通事故の示談交渉実績が豊富な弁護士を自分で探して依頼することをおすすめします。

4、示談の流れはどう進む

交通事故の被害に遭ってケガをしたあと、どのように示談を進めていくのかについて解説します。

  1. (1)医師の診察を受けた上で適切な治療を受ける

    交通事故でケガをした場合、まずは事故から1週間以内に医師の診察を受ける必要があります。医師が「交通事故によってケガをしている」と診断しなければ、保険会社から治療費や慰謝料などの損害賠償を受けることができないためです。

    交通事故によってケガをしたことがわかる診断書がなければ、たとえケガが重症だとあなたが感じる状態であっても、賠償してもらうのは極めて難しくなります。どのような理由があろうと、必ずなるべく早い段階で診断を受けましょう。また、支払われる慰謝料は通院日数や期間に応じて決定します。「仕事が忙しいから」などといって通院しない時期を作らないようにして、つらい症状が改善するまでしっかり通院することが非常に重要となります。

  2. (2)症状固定、後遺障害の申請

    事故後の治療の結果として完治した場合は、示談のための準備に入ります。
    保険会社が必要書類を集めた段階で、明確な金額の提示があるでしょう。

    他方で、治療の甲斐なく完治せずに一定の症状が残って止まってしまった状態のことを「症状固定」と呼びます。これは、「これ以上治療しても症状は改善されない」と医師が判断したことを意味します。治療の意味がないわけですから、症状固定という診断を受けたあとは、治療費が支払われません。治療したい場合は自費で治療しなければならないということになります。

    症状固定に至り、症状が残ってしまった場合には、損害保険料率算出機構の中の自賠責損害調査事務所という組織に対して、後遺障害等級についての認定申請を行います。

    この後遺障害等級の認定申請においては事前の準備が必須です。弁護士に相談することを強くおすすめします。

  3. (3)示談交渉と成立

    治癒すればその段階で、後遺障害の認定申請をすればその結果が出た段階で、示談額が提示されます。交通事故でケガをした場合は、ケガの治療費や薬代、通院交通費の他に、慰謝料や会社を休んだ場合の休業損害などの賠償金が提示されることになります。

    前述のとおり、個人で交渉した場合と弁護士が交渉した場合では、そもそもの算定基準が異なります。きちんと賠償を受けるためには、弁護士に依頼したほうがよいでしょうし、少なくとも、「保険会社による提示額が妥当といえるか」について相談してみるべきでしょう。

5、弁護士費用特約を使うタイミングと方法は?

弁護士費用特約は、いつ、どのように使えばいいのでしょうか。

  1. (1)弁護士費用特約を使うタイミング

    弁護士費用特約に加入していれば、弁護士費用が示談金の増額幅を上回ってしまう、いわゆる「費用倒れ」になることは基本的にありません。そのため、「事故直後」から相談することができますし、それをおすすめします。事故直後の一番不安な時期に、頼れる弁護士に相談することができるのは、大きな安心につながると思います。

  2. (2)弁護士費用特約を使う方法

    弁護士費用特約の使い方は保険会社によって異なります。まずは、弁護士に相談する前にご自身の保険会社に弁護士費用特約が適用されるかどうかを確認し、その上で自分で探した弁護士に相談し、信頼できるようであれば弁護士費用特約を使うことをその弁護士に伝え、依頼しましょう。

    事故の態様や保険の契約内容によっては弁護士費用特約が使えない可能性もありますので、あらかじめ確認することが大切です。無事に弁護士費用特約が使えることになれば、保険会社と弁護士が直接連絡を取りながら費用のやり取りを行いますので、原則として依頼者が弁護士費用を立て替える必要はありません。

6、まとめ

弁護士費用特約を使えば、弁護士への報酬等を自己負担することなく弁護士に交渉を一任できます。交通事故の場合は、事故に遭って気が動転している初期の頃から保険会社とさまざまな交渉をしなければならず、大きなストレスを感じることになりますし、そのまま加害者が加入する保険会社任せにしていると、最終的に最低レベルの損害賠償金しか得られないこともありえます。

ベリーベスト法律事務所 川崎オフィスでは、交通事故問題に対応した経験が豊富な弁護士が、あなたにとって適切なアドバイスを行います。まずはご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています