家賃滞納はいつまで許される? 3か月払えないときすべきこと

2023年08月31日
  • 借金問題
  • 家賃滞納
  • 3ヶ月
家賃滞納はいつまで許される? 3か月払えないときすべきこと

家賃を滞納すると、大家や家賃保証会社の社員による督促が行われるだけでなく、給与の差し押さえや物件の立ち退きなどの措置が取られる可能性があります。家賃滞納を放置しても、事態が解決することはありません。特に借金が原因で3か月も家賃を滞納した場合は、早急に手を打たなければ、住む場所を失うことになりかねないでしょう。

本コラムでは、何か月程度までなら家賃滞納が許されるのか、借金を整理して家賃を支払う方法などを、ベリーベスト法律事務所 川崎オフィスの弁護士が解説します。

1、家賃滞納が許されるのは何か月まで?

家賃を滞納した場合、民法上では3か月で賃貸借契約を解除できると解釈されています。したがって、現時点で3か月滞納しているのであればデッドライン上にいることになります。また、大事なこととして、賃貸借契約を解除しても、貸主は入居者を強制的に追い出したり、退去させたりすることはできません。これを専門用語で、自力救済禁止の原則といいます。

大家さんや保証会社からの督促に誠実に対応し、支払期限などを話し合っているのであれば、まだよいのですが督促を放置していると次々に法的措置を取られる可能性があるでしょう。

最近は、賃貸住宅を契約する際に、家賃保証会社と契約するケースがほとんどです。家賃保証会社は、入居者が家賃を滞納した場合、大家さんに家賃を立て替えて支払い、入居者から家賃を支払ってもらう会社です。

大家さんが、家賃の滞納があると通知すると数日から1か月程度で大家さんに家賃相当額が支払われ、大家さんの代わりに入居者に督促をすることになります。つまり、大家さんが滞納してすぐに家賃保証会社に通知すれば、早ければ数日で督促がスタートします。滞納後、大家さんが家賃保証会社に連絡をしなくても、大家さん本人や管理会社から督促が入るでしょう。

通常、家賃保証会社による督促は電話や文書で行われ、反応がなければ連帯保証人に連絡を取り家賃の支払いを求めます。連帯保証人も反応がなければ、直接自宅を訪問する督促に移行します。

家賃を滞納して3か月前後で、内容証明郵便による「賃貸借契約の解除の通知」が送付されることが多い傾向にあります。内容証明郵便には法的拘束力はありませんが、「確実に送付した」という証拠になりますので、「手紙を見ていない」と言い逃れできません。

内容証明郵便が来ても放置すると、徐々に強硬な手段が取られ最終的には訴訟を提起されてしまいます。裁判に出廷しなければ、敗訴となり、強制退去や給与の差し押さえなどの措置が取られることになるでしょう。

3か月間家賃を滞納しているのであれば、これらの措置がいつスタートしてもおかしくないといえる状態です。一刻も早く対策をスタートするべきです。

2、家賃滞納はどこに相談すればいい? 有効な対策とは

借金が原因で家賃を滞納している場合、滞納している家賃が支払えたとしても借金問題が解決しなければ、再び家賃を滞納してしまいます。したがって、家賃滞納問題と同時に、借金問題も解決しなければなりません。借金問題を解決するためのベストな相談先は弁護士です。

弁護士に相談すると同時に、下記の対策を参考に公的支援制度などの利用を考慮しましょう。

●誠実に大家さんや保証会社と話し合う
家賃滞納で一番やってはいけない行動が、督促を放置することです。支払うめどがついていなくても、連絡を無視せずに誠実に対応しておくほうがよいでしょう。連絡を無視したり、支払いが遅れていることを謝罪していなかったりと、誠意のない行動をすればするほど強硬手段に出られる可能性が高くなります。

●公的支援制度を活用する
国や地方自治体などで、生活に困窮している方向けの支援制度が用意されています。

2年以内に仕事を辞めてから無職の方向けの支援制度が「住宅確保給付金」です。ハローワークで求職活動をしている無職の方が支給対象で、最大9か月間家賃を支援してもらうことができます。

働いている場合は「生活保護」や「生活福祉資金貸付制度」が利用できる可能性があります。どちらも、生活保護は各地方自治体の地方事務所、生活福祉資金貸付制度は各自治体の社会福祉協議会で申請することができますので、相談してみるとよいでしょう。

●お金を借りる
取り急ぎ滞納した家賃の一部でも支払うために、必要なだけお金を借りるのも対策のひとつといえます。可能であれば家族や親しい方に頭を下げる必要もあるでしょう。しかし、すでに借金に追われている場合は、追加の借り入れはできません。借金が、年収の3分の1を超える場合は、消費者金融から借り入れることは難しくなります。また、消費者金融の借入額が大きければ銀行の融資の審査も通りづらいでしょう。

3、債務整理とは? 債務整理でできること

借金が原因で家賃を滞納した場合や、借金問題を片付ける必要があります。しかし、家賃が支払えないほど借金の返済が増えていれば、家賃を一時的に支払えたとしてもすぐに家賃を滞納してしまいます。だからこそ、まずは借金を整理する必要があるのです。

債務整理とは、金融機関や債権者と話し合い、もしくは裁判所に申し立てて借金を減額したり、ゼロにしたりする手続きのことです。

債務整理には、金融機関や債権者との任意の話し合いで借金を減額したり金利を引き直したりする「任意整理」、裁判所に申し立てて借金を減額し3年から5年で返済する「民事再生」、20万円以上の価値がある財産を手放し借金をゼロにする「自己破産」の4種類があります。

どの方法でも、現在よりも返済額が少なくなる、もしくはゼロになるので、生活は格段に楽になるはずです。

4、債務整理と任意整理はどう違うの?

債務整理とは、借金を返済して生活ができるようにする手続き全般を指します。任意整理は債務整理の一種です。

任意整理は、裁判所に申し立てることなく金融機関や貸金業者と話し合って、借金の減額を求めたり、支払いすぎた金利を引き直したりします。特に、長期間借金をしていて、過払い金が発生している場合は大幅に借金が減ることが少なくありません。

過払い金が発生していなくても、支払える範囲に借金を減額してもらうことも可能です。

また任意整理を弁護士に依頼し、弁護士から債権者に受任通知を送付することで、借金の督促は一時的にストップします。

5、家賃を任意整理することはできる? 破産することはできる?

家賃も借金と同様に任意整理することができます。支払い可能な金額に減額したり、分割支払いを依頼したりするなどの交渉は可能です。ただし、家賃を任意整理すると、退去を求められる可能性が高い傾向にある点に注意が必要です。

家主としては、任意整理されれば受け取る家賃が減ってしまいます。一度このようなできごとがあると、これからも安定して受け取ることができる保証がないと判断してしまうためです。

任意整理は、減額交渉する借金を自分で選べる債務整理方法です。したがって、済む場所を確保するためにも、金融機関から借りた借金だけ整理して家賃はそのまま支払う方がよいのではないでしょうか。

今の家に住むことはなく、新たに賃貸住宅を借りるつもりであっても、引っ越しにはある程度まとまったお金が必要になります。引っ越すことが確定事項ではないのであれば、任意整理を検討してみるとよいでしょう。

みなさんの中には、破産したら即退去しなければならないと誤解されている方も多いと思います。しかし、破産手続中に家賃を払い続ければ、居住を継続して、退去せずに済むこともあります。また、滞納家賃は破産債権として免責の対象となりえます。もし家賃が高すぎるようでしたら引っ越しも検討されるほうがよいでしょう。

6、弁護士に債務整理を相談する2大メリット

借金の整理を行うためには、弁護士に依頼することをおすすめします。その理由はいくつもありますが、特にあなた自身が受けられる大きなメリットについて解説します。

  1. (1)借金の督促と返済をストップできるため、家賃を支払う余裕ができる

    弁護士に債務整理を依頼すると、今後の借金の督促と返済を一時的に停止することができます。状況によって、任意整理、民事再生、自己破産などを選択することになりますが、決定するまで返済する必要がありません。

    これまで、月々の収入の中から借金を返済していたのであれば、その分を家賃に充当することが可能です。3か月分を一括支払いは難しいかもしれませんが、3か月遅れで支払うことは十分できるでしょう。

  2. (2)すべての手続きを任せられるため、激しい督促から解放される

    弁護士に債務整理を依頼すると、業者や保証会社との交渉を弁護士に一任できます。依頼した時点で借金に関する窓口はすべて弁護士が代行することになるため、厳しい督促や何度もかかってくる電話に悩まされることがなくなるはずです。自宅や職場にかかってくる電話やお金の心配から解放されるので、借金ストレスから解消されるでしょう。

    借金を抱えていると、常にお金の問題が頭を支配して、精神を病みかねません。さらに家賃を滞納している場合は、住む場所を失う恐怖とも戦わなければならないはずです。職場や自宅も、電話がかかってきたり訪問を受けたりするため、心の休まる暇がなくなることもあるでしょう。しかし、弁護士に依頼すればそれらの悩みから一度に解放されるのです。これはかけがえのないメリットといえるのではないでしょうか。

7、まとめ

家賃を3か月以上滞納した場合、法的措置を取られて強制退去や給与の差し押さえなどの強硬手段を取られてしまうことがあります。さらに借金を抱えている場合は、滞納した家賃と借金の返済で生活が立ち行かなるのは目に見えているのではないでしょうか。

借金が原因で家賃を滞納している場合は、速やかに弁護士に、最適な債務整理方法を相談しましょう。早く対応しなければ、賃貸借契約の解除などの手続きがどんどん進み、最悪住む場所すら失ってしまいかねません。

おひとりで悩みを抱えず、ベリーベスト法律事務所 川崎オフィスへぜひ相談してください。家賃滞納、建物明け渡しに関する事件や債務整理の実績豊富な弁護士が親身になって最適なアドバイスを行います。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています