自己破産すると会社や家族にバレる? メリット・デメリットは?

2021年06月22日
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自己破産すると会社や家族にバレる? メリット・デメリットは?

企業が破産手続きを行ったときは、関係者に直接知らされるだけでなく、商工リサーチなどビジネス向けのニュースで公になるケースも少なくありません。
他方、個人の場合は「自己破産」という手続きを行うことで、借金の返済義務がなくなります。では、個人が自己破産すると、どうなるのでしょうか。どこかで報道されたり、会社や家族に知らされて社会的立場が危うくなったりすることがあるのかについて、気にされる方は少なくないでしょう。

そこで、自己破産の概要や、誰かにバレる可能性、メリットデメリット、手順などをベリーベスト法律事務所 川崎オフィスの弁護士が解説します。

1、自己破産ってなに?

まずは自己破産とはなにか、そして自己破産の種類について解説します。

  1. (1)自己破産とは?

    自己破産とは、借金の返済が不能になった際に裁判所に申し立てることで、借金の返済義務を免れる手続きを言います。 原則として、自己破産が認められれば、財産を処分して返済に充てた上で、借金の残高がゼロになります。ただし、手元に資産を残すことはできません。処分した財産はお金を貸してくれた「債権者」に公平に分配されます。

  2. (2)同時廃止事件と管財事件

    自己破産には同時廃止事件と管財事件の2種類があります。ここでは、両者の違いや仕組みについてそれぞれ解説いたします。

    •同時廃止事件
    同時廃止事件とは、債権者に配るべき財産がない場合に行われる手続きです。配るべき財産がないため、破産手続き開始と同時に、手続きが廃止となることから「同時廃止」というのです。個人の自己破産者の多くが、財産を所有していないため同時廃止事件になることが少なくありません。同時廃止手続きは、手順が少なく早く借金から解放されるため、同時廃止事件を望む方が少なくありません。

    •管財事件
    管財事件とは、債権者に分配すべき財産がある場合に行われる手続きです。管財事件になった場合は「破産管財人」が選任され、破産管財人が財産の調査や換金、分割を行います。個人の自己破産の場合は、預貯金などの財産が20万円を超える場合、財産総額が99万円を超える場合は、管財事件となります。

    通常の管財事件として扱われると「予納金」として、あらかじめまとまったお金を納めなければなりません。5000万円以下の場合は70万円です。ただし、財産の金額が少額の場合は20万円程度(増減あり)を予納すればよい「少額管財事件」として扱われることもあります。

2、自己破産したことが誰かにバレる可能性は?

自己破産が周囲に知られることを恐れる方は少なくありません。しかし、原則として、裁判所・各債権者以外に知られる可能性はほぼないといってよいでしょう。

•自己破産者の氏名は官報公告に掲載されるが一般の方はほぼ閲覧しない
自己破産した事実は「官報公告」に掲載されます。しかし、官報は、誰でも閲覧することができますが、一般の方が毎日目を通すことはほぼありません。なぜなら、官報には、自己破産者名だけでなく、各種法律や政府の広報、企業の決算なども掲載されるので非常に膨大な情報量になるためです。さらに、一定期間以上さかのぼる場合や、日付や名前などで検索する場合は、利用料金を支払う必要があります。つまり、官報に掲載されても、仕事などのために購読している方さえいなければバレる可能性はほぼないのです。

そもそも、なぜ官報に自己破産したことや氏名などが掲載されるのかといえば、他に債権者がいないこと、または債権者に自己破産の手続きが完了したことを通知するためです。したがって、官報の情報は削除を求めることはできません。それでも、万が一官報に掲載されている情報を誰かが転載した場合は、削除を求めることができます。詳しくは弁護士に相談してください。

ただし、自己破産は、すべての債権者の借金の支払いが免除されるため、すべての債権者へ通知がなされます。「この人の借金だけは自己破産しない」というように指定することはできません。つまり、友人知人から借金している場合は、借りている友人や知人本人にはバレてしまいます。もし、友人知人には返済したいと考えている方は、任意整理という債務整理を検討することをおすすめします。

また、家族や友人知人が借金の保証人になっている場合は、あなたが自己破産した場合は保証人が返済しなければなりません。隠し通すことはできないため、自己破産がバレてしまうでしょう。

つまり、一般的に、家族や友人知人が絡んでいる借金があるケース以外は、周囲にバレる可能性は低いと考えられます。

3、自己破産のメリットとデメリット

次に自己破産のメリットデメリットを解説します。ご自身の状況が把握できていない、どちらがベストなのか判断できないという方は、弁護士にアドバイスを求めるとよいでしょう。

  1. (1)自己破産のメリット

    •すべての借金から解放される
    自己破産の最大のメリットは、税金など特定の債務以外、ほぼすべての借金の返済が免除になる点です。自己破産が認められれば、借金や滞納家賃などのすべての債務から解放されます。借金の返済で精神的に追い詰められていたのであれば、人生をやり直す大きなチャンスになるでしょう。自己破産が認められれば、返済日や返済金額に頭を悩ませる必要もありません。

    •給与等を差し押さえられずに済む
    借金の返済が滞っていたために銀行口座や給与が差し押さえられていた方は、自己破産開始により差し押さえが失効します。つまり、手元にお金が残るということです。家などの大きな財産がない方にとっては、ほとんどデメリットはないと言えます。

    •生活に必要な家具や家電などは手元に残すことができる
    自己破産は、所有するすべての財産を処分しなければならないと思われがちですが、実は生活に必要な財産は処分する必要はありません。これを自由財産といいます。テレビやパソコン、エアコンなども各家庭1台であれば、手元に残せます。ほぼ、これまでと変わらない生活を維持できます。

  2. (2)自己破産のデメリット

    •5年から10年間は今後クレジットカードやカードローンの契約ができない
    今後借金をする予定がなければ問題ありませんが、住宅を購入する予定がある方や、大きな買い物をする予定がある方は、自己破産すると5年から10年はローンを組むことができません。なぜならば、自己破産したことが、信用情報機関に掲載され業者間で情報共有されてしまうからです。

    •免責が決定するまでは一部の職業に就くことができない
    自己破産を申し立てて、免責が決定(借金の返済義務がなくなる)するまでの半年程度の期間は弁護士や司法書士などの士業、生命保険の募集人や警備員や宅地建物取引業者などの職業に就くことができません。

4、自己破産の手続き方法と必要書類

ここではご自身で自己破産を行うために必要な手続きや書類を解説いたします。自己破産の手続きを行うためには、まず裁判所に行き「破産申立書」を記載して提出しなければなりません。この際に、住民票と、源泉徴収票もしくは課税証明書、借金の経緯などを明記した陳述書、直近の家計簿、通帳の写しや給与明細、本人が所有する不動産の登記簿謄本や賃貸住宅の契約書、生命保険等の証券などが必要になります。

これらの書類を取りそろえて、破産申立書を記載して、提出したら書類を提出します。不備があれば都度訂正して,受理してもらえたら「自己破産受理票」が発行されます。 自己破産受理票が発行されたら、各債権者に送付することで借金の取り立てが停止します。

それから数週間後に裁判所で「尋問」が行われ、借金の原因等について質問されます。尋問が完了した時点で、自己破産できるかどうかが決定します。

5、自己破産は弁護士に依頼すべき理由

上記の通り、自己破産の手続きは煩雑で必要な書類も多く、個人の方が行うのは非常に難しいものです。書類をそろえるまでに時間がかかりますし、申し立てが受理されるまでは、債権者からの取り立ては止まりません。

しかし、弁護士に依頼すれば、債権者へ弁護士からの受任通知が届いた時点で、債権者からの督促は一時的に停止します。また、すべての書類の記載や準備を弁護士に依頼できます。つまり、自分でほとんど手間をかけずに弁護士に依頼したら借金から解放されるのです。

借金問題で追い詰められている方にとって、書類の用意も記載も非常に負担が大きくハードルが高いものです。多少費用がかかっても弁護士に依頼することを強くおすすめします。

6、まとめ

原則として自己破産が一般の方にバレる可能性は非常に低いものです。したがって、それを理由に自己破産を避ける必要はないと考えます。

自己破産が認められれば、借金の返済義務がなくなります。借金から解放された新しい人生を歩むことができるでしょう。自己破産するかどうかを迷っている方は、まずはベリーベスト法律事務所 川崎オフィスで相談してください。バレる可能性も含めて、あなたの状況に最適な対策を自己破産に対応した実績が豊富な弁護士がアドバイスします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています