共働きの夫婦が離婚する場合の財産分与、財産は必ず折半することになる? 知らないと損をすることも?
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2018年11月、ある有名な俳優と女優の夫婦が離婚届を提出したことを発表しました。離婚に際し、お互いに財産分与も慰謝料も請求しなかったといいます。
離婚の際には、離婚の条件として財産分与についても話し合って決めることが必要ですが、共働きの夫婦が離婚する際には、どのように財産を分け合うことになるのでしょうか。財産分与の対象となる財産・ならない財産と併せて解説します。
1、財産分与とは
夫婦が離婚するときに話し合わなければならないことのひとつに、財産分与があります。婚姻期間中に夫婦が築き上げて維持してきた財産はどのように分けるのが良いのでしょうか。ここでは、財産分与の意味や時効など、財産分与の概要について解説します。
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(1)夫婦共有の財産を清算すること
財産分与とは、結婚生活の中で夫婦がともに築いてきた財産を清算することを言います。配偶者と離婚する際には、慰謝料や養育費だけでなく、財産分与についてもどうするかを考え、お互いの納得のいくように清算することも重要です。財産分与には法律上決まった方法はなく、各家庭の状況に応じて自由に話し合いで決めることができます。
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(2)財産分与の2つの意味
財産分与には、大きく分けて「扶養的財産分与」と「清算的財産分与」の2つの意味があります。扶養的財産分与とは、夫婦の一方の収入が少ない場合、離婚後に生活が困窮することを防ぐために生活費を援助する意味で分けることを意味します。一方、清算的財産分与とは、夫婦が婚姻期間中に協力して財産を築いて維持してきた財産をそれぞれの貢献度に応じて分け合うことを指します。
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(3)離婚原因に関係なく請求できる
財産分与は、離婚原因をつくったか本人であるかどうかにかかわらず、相手方に請求できます。たとえば、妻の不倫や浮気が原因で離婚する場合、妻は有責配偶者になりますが、それに関係なく夫に対して財産分与を請求することが可能です。ただし、有責配偶者が財産分与を請求する場合、金額については一定の考慮の上減額されることもありえます。
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(4)財産分与の請求にも時効がある
ただし、財産分与を請求できる期間には限りがあります。離婚成立後、2年を過ぎると相手方に対して財産分与を請求できなくなるため、注意が必要です。受け取れないということがないようにするには、できる限り一括払いで受け取るのが理想ですが、分割払いにするときには支払期間をできる限り短くするのがコツです。
2、財産分与の対象となる財産
財産分与をするとき、分与できる財産はどのようなものでしょうか。逆に、分与できない財産はあるのでしょうか。具体的に分与できる財産・分与できない財産について見ていきましょう。
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(1)婚姻期間中に築いた財産(共有財産)
まず、婚姻期間中に夫婦が協力して築いた財産は分け合うことができます。その財産には、二人の預金・貯金や現金、有価証券、投資信託、ゴルフ会員権などの動産のほか、自家用車やマイホーム、別荘などの不動産も含まれます。また、高価な骨董品や美術品、家財道具なども財産分与の対象となります。
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(2)年金(公的年金・私的年金含む)
年金も財産分与の対象となります。ただし、分与を受けられるのは、婚姻期間中に保険料を納めた分のみです。私的年金の場合は、離婚前に満期が到来したものはもちろん財産分与の対象となりますが、満期がまだ到来していないものについては解約返戻金に相当する額が分与の対象となります。
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(3)退職金
退職金は、離婚する前にすでに支払われている場合は婚姻中に勤務していた期間に相当する部分について財産分与の対象となります。まだ支払われていない場合は、退職金を受け取る時期が近いかどうかで対象となるかどうかが異なります。2~3年後に退職金を受け取ることが決まっている場合は、財産分与の対象となるか可能性が高くなります。過去には、夫が6年後に定年を迎えるケースで退職金を財産分与の対象にするとした判例もあります(東京地裁平成11年9月3日判決)。
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(4)借金・負債
負債は、その発生時期や発生原因を分析して、財産分与において考慮されるか否かを決定します。実務上、例えば住宅ローンについては財産分与の対象となる住宅の評価額から、借金・負債の金額を差し引き、その残りを分割するという手続きを取ります。しかし、これらはあくまで夫婦間の内部的な取り決めであり、金融機関等の債権者に対しては効力を有しないということに注意が必要です。よって、弁護士に依頼して調整をする必要があります。
もし、収入の多い方(主に夫)が持っているプラスの財産よりも借金・負債の金額の方が大きい場合、あえて財産分与をしないとすることも検討したほうが良いでしょう。 -
(5)財産分与の対象にならない財産
夫婦が婚姻中に所持していた・取得したからと言っても、分与の対象にならない財産もあります。それは以下のような財産です。ただし、立証が困難な事例もありますので、早めに弁護士に依頼して資料等を収集するほうがよいでしょう。
- 婚姻前に所有していた預貯金などの財産
- 結婚後に親きょうだいから相続した財産
- 洋服やアクセサリー、時計など日常的に単独で使用しているもの
- 結婚前からの借金・個人の浪費によりつくった借金
- 別居後に個人で取得した財産
3、財産分与の手順
次に、財産分与の手順について解説します。弁護士や調停委員が財産分与を決める際の手順としては、どれが財産分与の対象となるのかを洗い出した後、分与の割合を決め、具体的な分与方法を決める、ということになります。
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(1)分与する財産をリストアップする
最初に、夫婦それぞれが持っている分与の対象となる財産をリストアップします。預貯金が現金と言った目に見える財産は忘れないものの、車・土地建物などの不動産や、住宅ローンなどの借金・負債はリストから漏れることも多いので、忘れずにリストに入れるようにしましょう。
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(2)分与の割合を決める
夫婦それぞれの財産形成への寄与度・貢献度から、分与の割合を決めます。どちらか一方が専業主婦(夫)の場合でも、夫(妻)が収入を得たり財産を築いたりするのに貢献したとして、5割程度を請求することが認められています。ただし、財産分与の割合について法律上の決まりはないため、柔軟に対応することが可能です。たとえば、夫と妻で7:3にする、6:4にするといった分け方をすることもできます。
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(3)財産分与方法を決める
分与割合を決めたら、実際に財産分与をする方法を決めていきます。預貯金や現金であれば、双方が合意した割合に従って分割すればよいでしょう。土地建物などはそのままでは分与できないため、いったん専門家に査定を依頼して評価額を出してもらい、その価格を参考にします。マイホームの場合は、どちらかが現金を得る代わりにどちらかが住み続けるといった方法もよく取られます。
4、共働き夫婦の財産分与
夫婦が共働きの場合は、それぞれが収入を得て、独自に財産を形成しています。この場合、財産分与はどのようになるのでしょうか。どちらか一方が専業主婦(夫)の場合と何か異なる点はあるのでしょうか。共働き夫婦の財産分与の方法や考え方について見ていきましょう。
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(1)財産分与の割合は基本的に2分の1
共働き夫婦の場合、お互いの収入を合わせて財産を築き上げてきた場合は、その財産が分与の対象となります。収入の多寡や家事への貢献度にもよりますが、基本的に財産の分与割合は2分の1とするケースが大半を占めます。ただし、たとえば医師や会社経営者の事例でどちらか一方が稼いだお金をあるだけ使ってしまって預貯金がなく、一方がコツコツと余ったお金を貯蓄していた場合は、単純に折半してしまっては不公平です。そのため、各自の収入の生活費への捻出割合や財産形成への貢献度を考慮に入れて分割することになります。
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(2)共働きでも年金分割の対象になる?
共働きの場合でも、年金分割を受けることはできます。共働き夫婦の場合は、2人とも厚生年金保険に加入していることがほとんどですので、婚姻期間中に納めた厚生年金の保険料のうち報酬比例部分について収入の多い方から少ない方へ分割することが可能です。ただし、年金分割の対象になるのは報酬比例部分のみであり、基礎年金部分については対象外となっていることに注意しましょう。
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(3)夫婦のどちらかが財産を管理している場合
夫婦のどちらかが2人分の給与を管理している場合、管理していないほうがどの銀行口座にいくら入っているのかを把握していないことがあります。その場合、財産分与に当たってまず財産調査を行うことになります。利用している金融機関と支店名がわかれば、相手方に対して通帳の開示請求をすることもできます。相手方が応じない場合は、離婚調停を申し立てて調停委員を通じて通帳などの提出を求めたり、裁判所に金融機関への調査を求めることによって資料を入手することになります。
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(4)貯金を使い込んでいた場合は浪費された部分も請求できる
夫婦のどちらかが財産を管理している場合、預貯金の金額を調査してみると、預けていた一方が思っていたよりも預貯金の金額が少額であることがあります。この場合、どういう目的でお金を使ったのかを過去にさかのぼって相手方に説明を求めます。もし浪費のために使い込んでしまっていた場合は、財産分与の時に浪費した金額も含めて相手方に請求できるケースがあります。ただし認められることは稀です。
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(5)共働き夫婦が別財布の場合の財産分与
共働き世帯では、夫婦それぞれが必要最低限の生活費だけをそれぞれの収入から捻出し、あとは各自で預貯金を管理していることが多い傾向にあります。この場合、夫名義の預貯金は夫が、妻名義の預貯金は妻が取得するとし、財産分与の対象外とするケースも珍しくありません。しかし、この場合でも、預貯金以外の不動産などは財産分与の対象となりますので、これらの財産の評価額を出して清算するのを忘れないようにしましょう。
5、まとめ
夫婦2人がきちんとした定職に就いていて離婚しても経済的に問題がない場合は、財産分与のことでもめることは少ないかもしれません。しかし、夫が正社員で給与も賞与ももらえる立場である一方で、妻がパートやアルバイトをしていて収入が少ない場合は、離婚しても妻が生活に困らないように、一定の考慮の上財産分与の割合や方法について決めるべきでしょう。2年の時効のうちに財産分与についてお決めになることをすすめます。
ベリーベスト法律事務所 川崎オフィスは、家庭裁判所の近くにあり、財産分与の方法についてご相談を承っております。弁護士がお客様から現在の経済状況や資産状況についてお話を伺った上で、最善の財産分与方法をご提案いたします。
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