風俗トラブル! 警察を呼ばれたり慰謝料請求されたときどうすべきか

2024年12月19日
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風俗トラブル! 警察を呼ばれたり慰謝料請求されたときどうすべきか

川崎市の堀之内地区には多数の風俗店が存在し、風俗街として有名です。法律やルールにのっとり遊ぶのであれば問題ありませんが、欲望に任せた軽はずみな行為によって、思わぬトラブルにつながることも少なくありません。
こうした行為によって、店側から警察を呼ばれてしまうケースや、訴えるとして不当な請求を受ける可能性があります。

本コラムでは法的な背景を交え、風俗店で起こしてしまいがちなトラブルと、もし風俗でトラブルとなり警察を呼ばれたなどの事態に陥ったときとるべき対策について、ベリーベスト法律事務所 川崎オフィスの弁護士が解説します。


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1、風俗は売春? 客も罰せられる?

日本では「売春の防止を図ることを目的とする」ために、売春防止法が制定されています。売春防止法第2条によりますと、取り締まりの対象となる売春とは「対償を受け、または受ける約束で、不特定の相手方と性交すること」と定義されています。

この性交とは、男性器を女性器に挿入する行為のことをいい、風俗の利用者や関係者の間では本番行為ともいわれています。

売春防止法第2条によりますと、取り締まりの対象となる売春とは「対償を受け、または受ける約束で、不特定の相手方と性交すること」と定義されています。また、同3条では「売春をしたり、またはその相手方となってはならない」と規定しています。

ところが、売春防止法は過去の時代背景から売春婦の保護と売春の拡大を防ぐことを目的とした法律です。このためか、仮に金銭の受け渡しが条件のもと性交したとしても、その当事者には罰則が定められていません。つまり、売春行為の客が逮捕されたなどのケースは、現状ほぼないのです。後述するような強要行為や当事者の一方が18歳未満でもないかぎり、当事者間の自由恋愛などというようなグレーゾーンに落ち着く傾向があります。

しかし、合意のある売春すなわち本番行為が罰せられないといって、予想もつかないようなトラブルを防ぐためにも、あたかも売春のあっせんを目的としているような風俗店は利用しないほうがよいでしょう。

2、なぜ本番行為は禁止?

多くの風俗店では、客および従業員に本番行為を禁止しています。この理由のひとつは、もし店側が提供するサービスとして客や従業員に本番行為を認めたりあっせんしたりすると、売春防止法違反になるためです。

同法第6条では「売春の周旋」、つまり本番行為をする女性の仲介やあっせんなどを行った者には2年以下の懲役または5万円以下の罰金を科すと定めています。さらに、同法第11条では本番行為がある事実を知ったうえで場所を提供した者には3年以下の懲役または10万円以下の罰金、これを業とした者には7年以下の懲役または30万円以下の罰金を科しています。

このような厳しい罰則規定を設けた売春禁止法に基づく摘発を免れるため、基本的に店側は客や従業員に本番行為を禁止し、サービスの提供範囲を口腔性交などの擬似性交にとどめているのです。しかし、これはきわめてグレーゾーンであるとの見解もあります。

ところで、一般的にソープランドでは本番行為が可能かのように理解されているケースが大半を占めているようです。しかし、多くのソープランドはあくまで従業員が客の入浴を補助するサービスの提供を営業目的としています。したがって、店側は入浴以外の行為について一切知り得ていないという建前をとっているのです。

このため、個室浴場内で本番行為があったとしても、多くのソープランドが摘発を受けていないという現状があります。ただし、このような建前は最高裁判所で否定された経緯があることも事実です(昭和42年9月19日 最高裁判所判決)。

3、よくある風俗トラブル4事例|問われうる罪と罰則

上記のような背景を踏まえて、風俗店で多いとされるトラブルの類型を紹介します。

  1. (1)本番行為の強要

    法的に問題がない多くの風俗店では、客に対してサービス前に店が本番行為およびその勧誘を禁止していることを通知しています。さらに従業員に対しても客との本番行為も禁止しているはずです。

    そのような中で無理やり本番行為をすると、刑法第177条に規定する不同意性交等罪(旧「強制性交等罪」)が成立する可能性があります。不同意性交等罪(旧「強制性交等罪」)に科される量刑は5年以上の懲役であり、未遂にも適用されます。

    なお、従業員と合意のうえ本番行為に及んだとしても、あとから従業員が「本番行為を強要された」と訴えてきた場合は、きわめて立場が悪くなるでしょう。

  2. (2)過剰なサービスの強要

    多くの風俗店では、本番行為の禁止とともに従業員が提供するサービスの範囲を明示しています。その範囲を超えたサービス、たとえば店や従業員が全裸によるサービスは提供していないと明示しているのにもかかわらず全裸によるサービスを強要すると、刑法第176条に規定する不同意わいせつ罪(旧「強制わいせつ罪」)が成立する可能性があります。

    不同意わいせつ罪(旧「強制わいせつ罪」)に科される量刑は6か月以上10年以下の懲役で、不同意性交等罪(旧「強制性交等罪」)と同様に未遂にも適用されます。なお、不同意性交等罪(旧「強制性交等罪」)は本番行為だけでなく肛門性交や口腔性交を強要した場合にも適用されるため、サービスの範囲外である肛門性交や口腔性交を強要した場合は、不同意性交等罪(旧「強制性交等罪」)が成立する可能性があるといえるでしょう。

  3. (3)18歳未満からのサービス

    もし従業員が18歳未満であることを知りながら性的サービスを受けた場合は、児童買春・ポルノ禁止法で禁止する児童買春、各都道府県の青少年育成保護条例違反などが成立する可能性があります。

    これらが成立した場合、児童買春であれば5年以下の懲役または300万円以下の罰金、神奈川県の青少年育成保護条例違反であれば2年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されることになります。

  4. (4)盗撮

    従業員の盗撮は、令和5年7月13日に施行された撮影罪(正式名称「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」)が適用されることがあります。撮影罪として罪に問われ有罪となれば、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金が科されます。未遂であっても処罰対象であることも知っておくべきでしょう。

    なお、令和5年7月12日以前に行われた盗撮行為は、軽犯罪法第1条23号「人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見」した行為に該当した場合は、刑事施設に1日以上30日未満の拘留または1000円以上1万円未満の科料(軽犯罪法第1条2号)が科されるか、神奈川県で迷惑防止条例違反が適用された場合は1年以下の懲役または100万円以下の罰金、さらに常習と認められた場合は2年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されることになっていました。

    いずれのトラブルの場合も、有罪になれば当然前科がつきます。日常生活にも大きな影響を及ぼしかねません。警察による取り調べの対象となった時点で速やかに弁護士に相談すべきでしょう。

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4、風俗トラブルで慰謝料請求されたら?

風俗でトラブルとなってしまった場合、店と従業員の双方から慰謝料を請求されることがあるかもしれません。ただし、もし店側から慰謝料を請求されたとしても、安易に応じないでください。なぜなら、「慰謝料」とは、民法第709条、第710条に規定する不法行為に起因した精神的苦痛に対して支払われるべきものであるためです。

よくある風俗トラブルの場合、加害者の行為によって精神的苦痛を負った被害者は、加害者を接客した従業員です。したがって、そもそも店側に対しては慰謝料を支払う道理は基本的にないといえます。もちろん、慰謝料の請求について店側から脅しのような言動があった場合は、絶対に屈してはいけません。

また、従業員から慰謝料を請求されたとしても、その金額の妥当性については被害の度合いや過去の事例などを弁護士など専門家のサポートを得ながら、慎重に判断する必要があります。もし店側からトラブルが原因で売り上げが落ちたことなどを理由とする損害賠償請求があった場合も、弁護士に相談しながら対応を検討するといいでしょう。

5、風俗トラブルで示談交渉するメリット

示談とは、民事上あるいは刑事上の争いごとを、加害者と被害者の話し合いで解決することです。あなたの行為が原因で、風俗店の従業員に精神的苦痛が生じている場合、あるいはあなたの行為が不同意性交等(強制性交等)の刑事事件に発展すると考えられる場合は、できるかぎり早期に示談交渉を成立させることが重要です。

不同意性交等罪(旧「強制性交等罪」)や不同意わいせつ罪(旧「強制わいせつ罪」)は、被害者からの告訴がなくても起訴される非親告罪です。したがって、あなたの行為に対してこれらの罪が成立した場合、今後の逮捕や起訴もあり得ます。しかし、早期に被害者側との示談交渉を成立させておけば、その事情が考慮され不起訴処分や起訴猶予、あるいは罰金刑など、過剰に重い処罰を受ける事態を回避できる可能性が期待できます。

6、風俗トラブルで弁護士に依頼するメリット

風俗トラブルの当事者となってしまったら、決してご自身で相手方と交渉しようとはせず早急に弁護士へあなたの代理を依頼してください。弁護士に依頼することで、以下のようなメリットが期待できます。

  • 従業員または店と早急の示談成立に向けた交渉。
  • 店側や従業員から法外な請求があった場合の対応。
  • 店側が家族や勤務先へ連絡するなどと脅してきた場合は、その違法性の指摘と対応。
  • もしあなたが逮捕や起訴に至った場合でも、早期の釈放に向けた弁護活動。

7、まとめ

風俗トラブルの末、加害者になった場合、トラブル対応の経験が豊富な風俗店が相手方となり迫られると、あなたにとって一方的に不利な交渉になる可能性があります。

そのようなとき、弁護士があなたの心強いパートナーとなります。風俗トラブルの解決に経験と知見のある弁護士に依頼すれば、ご自身で交渉する場合と異なる結果が期待できるとともに、相手方との交渉を弁護士に任せることができるため、あなたの精神的な不安感は大きく軽減されることでしょう。

他方で警察を呼ばれ、罪に問われそうなときは早急に弁護士に対応を依頼すべきです。いずれの場合もひとりで対応しようとせず、刑事事件についての知見が豊富なベリーベスト法律事務所 川崎オフィスの弁護士にご相談ください。重すぎる罪に問われないよう、ベストを尽くします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています