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飲酒運転の幇助はどんな罰則を受ける?川崎オフィスの弁護士が解説

2023年09月14日
  • 交通事故・交通違反
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飲酒運転の幇助はどんな罰則を受ける?川崎オフィスの弁護士が解説

令和3年10月、九都県市首脳会議(川崎市・埼玉県・東京都・神奈川県・千葉県・横浜市・千葉市・さいたま市・相模原市)は、同年千葉県で発生した複数の児童が飲酒運転のトラックにはねられ、死傷した事故をきっかけに、飲酒運転根絶に向けた共同宣言を発表しました。
また、川崎市では飲酒運転根絶強化月間キャンペーンを定期的に実施するなどして、飲酒運転の危険性を訴えるとともに、根絶するための取り組みを行っています。
今後も飲酒運転の取り締まりはさらに厳しくなっていくものと考えておくべきでしょう。

数々の悲惨な事故を経て飲酒運転は厳罰化されましたが、飲酒運転をしたドライバーだけでなく、飲酒運転に関わった周囲の人も処罰の対象となっています。もし、友人や家族が飲酒運転をして、その車にあなたが同乗していたとすれば、それだけであなた自身も処罰される可能性があるのです。

本コラムでは、飲酒運転の幇助にまつわる犯罪について、ベリーベスト法律事務所 川崎オフィスの弁護士が解説します。

1、「飲酒運転」について

はじめに、飲酒運転の定義や検挙される基準についてご説明いたします。

  1. (1)飲酒運転の定義

    飲酒運転とは、道路交通法第65条の「何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない」という規定に違反した場合を指します。

    「酒気を帯びて」ですから、たとえわずかな量であっても飲酒のうえで運転すれば違反に該当します。
    また「お酒を飲む」ことに限らず、たとえばウイスキー入りのチョコレートや、ブランデーを染み込ませたケーキ、飲みやすく調理した甘酒などを口にすることも「酒気を帯びて」とみなされます。

    「車両等」と広く規定されているため、飲酒運転の禁止は自動車や二輪車に限った話ではありません。
    代表的なものが自転車です。
    自転車は道路交通法上の「車両」に該当するため、自転車であっても酒気を帯びて運転すれば飲酒運転が成立することには注意が必要でしょう。

  2. (2)検挙される基準が存在する

    道路交通法では「酒気を帯びて車両等を運転してはならない」と規定されていますが、実際に飲酒運転として検挙される場合には一定の基準が設けられています。
    呼気・血中に保有するアルコールの量によって検挙の要否が判断されるため、基準値以下の場合は検挙されません。

    ただし、たとえ基準値以下であっても「酒気を帯びて」であることが間違いなければ、継続して車両を運転することは認められません。
    もし、警察官に停止を求められて飲酒検知を行い、基準値以下であっても酒気を帯びていることが判明すれば、代わりの運転手を手配する、レッカーなどで移動してもらうといった措置が必要になります。

2、飲酒運転をした場合に問われる罪

酒気を帯びて車両を運転する行為は、それ自体が道路交通法によって禁止されていますが、一定の要件に合致していない限り処罰されることはありません。
では、酒気を帯びて車両を運転していた場合、どのような条件に合致するとどんな罪に問われるのでしょうか?

  1. (1)酒気帯び運転

    飲酒検知のうえで次の条件に合致した場合、道路交通法違反のうち「酒気帯び運転」として処罰の対象となります。

    • 呼気1リットルあたりのアルコール濃度が0.15mg以上
    • 血液1リットルあたりのアルコール濃度が0.03%以上


    飲酒検知は法令によって呼気による検査が基本とされていますが、飲酒検知をかたくなに拒んだ場合は飲酒検知拒否罪で逮捕されたうえで、身体検査令状に基づき強制的に血液を採取される場合があります。

    酒気帯び運転には、次の罰則が設けられています。

    【刑事罰】
    3年以下の懲役または50万円以下の罰金

    【行政処分】
    ・アルコール濃度0.15mg以上0.25mg未満の場合…13点(免許停止)
    ・アルコール濃度0.25mg以上…25点(免許取消)

  2. (2)酒酔い運転

    酒気を帯びた状態で、アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態であれば「酒酔い運転」として処罰の対象となります。
    酒酔い運転の判断は、呼気や血中のアルコール濃度だけにとどまりません。
    まっすぐに歩けるか、現在の日時や場所などを正確に答えられるか、目の充血などの所見はあるか、言動は正常かなどを総合的に判断されます。
    つまり、お酒に強い体質であれば呼気アルコール濃度の基準を大幅に超えていても酒酔い運転にならない場合があり、一方でお酒に弱い、体調不良などでひどく酒に酔ってしまったなどの状態では、酒気帯び運転の基準値以下であっても酒酔い運転だと判断されることがあるのです。

    酒酔い運転の罰則は次のとおりです。

    【刑事罰】
    5年以下の懲役または100万円以下の罰金

    【行政処分】
    35点(免許取消)

  3. (3)危険運転致死傷

    平成26年5月から「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」が新設され、従来は刑法に規定されていた危険運転致死傷罪に該当する行為が、新法における「危険運転致死傷」として処罰の対象となりました。

    同法第2条では、「アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させ」、これによって「人を負傷させた場合」には15年以下の懲役、「人を死亡させた場合」には1年以上20年以下の懲役に処すると定められています。

    また、正常な運転が困難な状態とは言えなくても、アルコールの影響によって、「その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、」これによって「正常な運転が困難な状態に陥り、人を死傷させた場合」も処罰対象になることが明記されています。
    これにより、相手を負傷させた場合は12年以下の懲役、死亡させた場合は15年以下の懲役という非常に重い刑罰が科せられます。

3、飲酒運転を手助けしてしまった場合の罪や刑罰

飲酒運転をしたドライバーだけでなく、ドライバーに飲酒運転をさせた者や飲酒運転を容認した者も処罰の対象となります。

具体的に、飲酒運転を手助けしてしまった場合の罪や飲酒運転に関係する罪についてご説明いたします。

  1. (1)車両提供罪

    道路交通法第65条の2は「飲酒のうえで車両等を運転することとなるおそれがあるものに対し、車両等を提供してはならない」旨を規定しています。
    この規定に違反すると「車両提供罪」に該当し処罰を受けます。

    車両の提供とは、車の名義などに関係なく、事実上の支配があれば足りるとされています。
    自己名義の車だけでなく、家族名義の車、会社から貸与されている車であっても、酒気を帯びた状態であることを知ったうえで使用を許可する、たとえばエンジンキーを渡すなどの行為があれば車両提供罪が成立します。

    車両提供罪は、飲酒運転を手助けする「幇助犯」の一種ですが、刑法で規定された幇助犯ではなく、独立したひとつの犯罪として処罰されます。
    これを独立幇助犯といいます。

    また、飲酒運転をするつもりがなかった人に対して車両を提供し、その後に飲酒運転に至らせた場合は、飲酒運転の教唆犯として処罰の対象となります。
    たとえば、飲酒会合の席で帰宅時はタクシーを使おうと考えていた人に「この車に乗って帰ればいい」とエンジンキーを渡し、実際に飲酒運転に至った場合、車両提供者は飲酒運転の教唆犯となります。

    車両提供罪や飲酒運転の教唆犯に該当した場合、飲酒運転をしたドライバーと同じ処罰を受けます。
    ドライバーが酒気帯び運転の場合は2年以下の懲役または50万円以下の罰金、酒酔い運転の場合は5年以下の懲役または100万円以下の罰金に処されます。

  2. (2)酒類提供罪

    道路交通法第65条の3は、飲酒運転をするおそれがある者に対する酒類の提供や飲酒を勧める行為を禁じています。
    飲食店などで車に乗って来店していることを知っていながら酒類を提供する行為や、車を運転して帰宅しないといけない事情を知りながら飲酒を勧める行為は「酒類提供罪」に該当します。

    ただし、飲酒運転のおそれを認識せず、ただ目の前にある酒類をお酌する行為などは、ここでいう「提供」にはあたりません。
    一方で、運転があるので飲酒はできない旨を告げたのに「バレなければ大丈夫」などとそそのかして飲酒させた場合は、酒類提供罪が成立します。

    酒類の提供を受けたドライバーが飲酒運転を犯して検挙された場合、酒類の提供者は次のとおり処罰を受けます。

    • ドライバーが酒気帯び運転の場合…2年以下の懲役または30万円以下の罰金
    • ドライバーが酒酔い運転の場合…3年以下の懲役または50万円以下の罰金
  3. (3)同乗罪

    道路交通法第65条の4では「車両の運転者が酒気を帯びていることを知りながら、自己の運送を要求・依頼して飲酒運転の車両に同乗すること」を禁じています。
    これが「同乗罪」です。

    単に「飲酒運転の車両に同乗すること」だけで成立するのではなく、行き先の指定など同乗者自身が自らの意思を反映させる行為が必要です。
    「送るから乗ればいい」などと誘われて承諾したなどのケースでは、同乗者の積極的な意思が認められないため同乗罪は成立しないと解されています。

    また、飲酒運転をする気がなかった人に対して「車で送ってほしい」などと要求した場合は、同乗罪ではなく飲酒運転の教唆犯となります。

    飲酒運転の取り締まりが厳しくなり、警察は同乗者に対して同乗罪が適用されるのかどうかを綿密に調べるようになりました。
    飲酒運転で検挙された場合、同乗者はほぼ確実に同乗罪の疑いをかけられると考えておくべきでしょう。

    同乗罪の罰則は、酒類提供罪と同じです。
    実際にハンドルを握っていたドライバーが酒気帯び運転なのか、酒酔い運転なのかによって、罰則が異なります。

    • ドライバーが酒気帯び運転の場合…2年以下の懲役または30万円以下の罰金
    • ドライバーが酒酔い運転の場合…3年以下の懲役または50万円以下の罰金


    なお、運行中のバスやタクシーなど、旅客自動車運送事業に従事中の車に同乗した場合、同乗罪は適用されません。

4、飲酒運転で逮捕された場合の刑事手続の流れ

飲酒運転で逮捕された場合の刑事手続の流れを確認しておきましょう。

  1. (1)逮捕

    警察に逮捕されると、逮捕事実に関する取り調べが行われます。飲酒運転や幇助犯などの疑いで逮捕された場合は、犯罪事実に間違いがないのか、どのような経緯で犯行に及んだのかなどの取り調べを受けることになります。

  2. (2)送致

    引き続き捜査が必要と判断されると、逮捕から48時間以内に、被疑者の身柄は検察庁へと移されます。検察庁では、検察官による取り調べが行われ、24時間以内に起訴・不起訴が決定されます。取り調べが十分ではなく引き続き身柄拘束が必要であれば、裁判所に勾留請求がなされます。
    飲酒運転に関する事件で逮捕された場合、逮捕事実に争いがなく被疑者が反省を示してれば略式起訴という手続きが採用されることがあります。略式起訴の場合、正式な裁判が行われず、罰金を納付すればその場で釈放されます。

  3. (3)勾留

    勾留が認められると、検察庁から警察に身柄が戻され、引き続き取り調べが行われます。原則10日間、延長によって最長20日間の身柄拘束を受ける間に、取り調べなどの捜査が行われます。

  4. (4)起訴または不起訴

    勾留が満期を迎えるまでに、検察官は起訴・不起訴を決定します。起訴された場合は、被告人として引き続き勾留を受けますが、不起訴となった場合はその時点で釈放されます。

  5. (5)裁判

    裁判所で開かれる裁判によって、有罪か否かが審理されます。有罪の場合は、法定刑の範囲内でどの程度の刑罰が妥当であるかが検討され、判決の日に言い渡されます。

5、まとめ

飲酒運転の車に同乗していた場合、警察から同乗罪やその他の罪の疑いをかけられることになります。
逮捕されたのちに、自らが積極的に飲酒運転に加担したわけではないことを主張しても、警察は簡単には納得してくれません。
同乗罪などの嫌疑がかけられた場合は、積極的に飲酒運転に加担したわけではないことを合理的に説明する必要があるため、弁護士のサポートが必要になるでしょう。

ベリーベスト法律事務所 川崎オフィスでは、飲酒運転で事件を起こしてしまった方や、飲酒運転の幇助で逮捕されてしまった方のサポートをいたします。
お早めにベリーベスト法律事務所 川崎オフィスまでご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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