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【前編】従業員から残業代請求されたら確認すべき5つのポイントと対処方法について

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2019年06月03日
  • 労働問題
  • 残業代請求されたら
【前編】従業員から残業代請求されたら確認すべき5つのポイントと対処方法について

平成30年9月、神奈川県中郡二宮町が過去30年以上にわたり職員に適正な残業代を支払っていなかったことが明らかになりました。本件は職員給与に関する条例違反であり、二宮町は職員に2年分の未払い額3990万円を支払ったうえで、町長らが減給処分となったと報道されました。

一昔に比べると、残業代の未払いに対する当局や世間の目は厳しくなっています。残業代の未払いについて違法性が認められた場合に、企業側が受ける損失は決して軽くありません。

多くの場合、残業代の未払いは労働者側からの請求により発覚します。そこで、従業員から残業代を請求されたら、使用者側が確認すべき事項と対処方法について、労働問題を取り扱っているベリーベスト法律事務所・川崎オフィスの弁護士が解説します。

1、残業代の支払いは会社の義務

労働基準法第32条では、労働時間は原則として1日あたり8時間、1週間あたり40時間を超えてはならないと規定されています。これを「法定労働時間」といいます。

しかし、業務の繁忙などやむを得ない事情から、労働基準法第36条に基づく「企業と労働組合または労働者の代表との間において残業や休日労働に関する理由などを定めた協定(いわゆるサブロク協定)」が締結されていることを前提に、会社は従業員に法定労働時間を超過した残業を命じることができます。従業員に残業を命じた会社には、労働基準法第37条の規定により所定の割増賃金を労働者に対して支払うことが罰則付きで義務付けられています。これが一般的に「残業代」と呼ばれるものです。

残業代には大きく分けて以下の3つがあり、割増率はそれぞれ異なります。

  1. (1)法定内残業

    会社によっては、就業規則や雇用契約で法定労働時間よりも短く所定労働時間を定めていることがあります。

    仮に所定労働時間が7時間と定められているのにもかかわらず、労働時間が8時間となった場合は、差分の1時間は法定内残業として企業には残業代を支払う義務が生じます。この場合の残業代は基礎賃金と同額であり、割り増しはありません。

  2. (2)法定外残業

    法定労働時間である8時間を超える労働を「法定外残業」といいます。法定外残業に対する割増率は25%です。

  3. (3)深夜労働

    労働者が午後10時から午前5時までの時間帯に勤務した場合、これを深夜労働といいます。深夜労働に対する割増率も25%です。

2、未払いの残業代が発生した場合のリスクについて

  1. (1)法的リスク

    残業代の未払いについて従業員から労働調停や労働審判、さらには裁判を起こされると、それに対応するための人件費や弁護士費用などのコストが発生します。

    この結果、従業員との和解または判決により残業代の支払いが確定したとしても、支払う金額は未払い残業代だけでは収まらないことも想定されます。

    主に、以下のような付加金等を支払わなければならない可能性があります。

    • 未払い残業代の倍額の支払い(労働基準法第119条)
    • 従業員が在職中であれば、未払い残業代に対して年率最大6%の遅延損害金(民法第419条および商法514条)
    • 従業員が退職済みであれば、未払い残業代に対して年率最大14.6%の遅延利息(賃金の支払の確保等に関する法律第6条)


    ただし、遅延損害金や遅延利息は、労働調停や労働審判あるいは和解においては、決着させる落としどころのひとつとして請求されないケースが多い傾向があります。したがって、裁判において確定判決が出た場合のみ上乗せで支払う必要があるお金であるといえるでしょう。なお、裁判になれば報道されてしまう可能性が高まります。労働者に対する支払いだけでは済まされないケースは少なくありません。

    また、労働基準監督署から会社の残業代の未払いについて違法行為が明確に認められ、労働基準監督署による指導や是正勧告にも従わないなど悪質と判断されてしまうケースがあります。その場合、労働基準法第119条第1項の規定により法人としての会社または管理監督の任にある経営者個人あるいは両方に対して、「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」が科されることになります。

  2. (2)風評リスク

    未払い残業代をめぐるような民事訴訟は、民事訴訟法第91条の規定により企業名や訴訟内容などが公開されます。また、残業代の未払いの事実が認められたことにより労働基準監督署によって会社が送検された場合は、地域の労働局により「労働基準関係法令違反に係る公表事案」として会社名や事案概要が公表されます。

    インターネットやSNSによる情報の拡散は早く、さらに事実に対して尾ひれが付く可能性は否定できません。これによってブラック企業や反社会的企業のレッテルを貼られた結果、新たな従業員の採用が難しくなったり、そのような会社との取引を禁止している先からは取引を打ち切られたりすることも考えられます。最悪の場合、会社の事業そのものが立ち行かなくなる可能性もあるでしょう。あらかじめ弁護士に相談した上で、このような事態に陥らないよう、対策しておくことをおすすめします。

    後編では、引き続き川崎オフィスの弁護士が、従業員から残業代請求をされたときにすべきことや対処方法について解説します。
    >後編はこちら

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