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残業代未払いに対する罰則とは? 企業担当者が行うべき対策を解説

2021年11月15日
  • 労働問題
  • 残業代未払い
  • 罰則
残業代未払いに対する罰則とは? 企業担当者が行うべき対策を解説

労働者からの未払い残業代の請求は、企業にとって大きな問題です。

平成30年には大手賃貸住宅建設会社の川崎市内にある支店が、社員に違法残業をさせたうえに適切な残業代を払っていなかったとして、労働基準監督署から是正勧告を受けました。

未払いがあった場合は罰を受ける可能性があるほか、企業のイメージダウンや経営への影響も無視できません。では社員から未払い残業代の請求をされた場合、どのように対応すればいいのでしょうか?対応方法や罰則について詳しく解説します。

1、残業代未払いで会社が受ける可能性のある罰則とは?

残業代の未払いは違法行為であり、刑罰を受ける可能性があります。まずは残業代の仕組みや罰則について簡単にご説明します。

  1. (1)残業代の未払いに対する罰則

    使用者は労働者を法定労働時間以上働かせた場合、割増賃金(割増率25%以上)を支払う必要があります。いわゆる「残業代(時間外労働手当)」です。

    残業代の支払いは労働基準法第37条で規定されており、きちんと支払わなかった場合いは労働基準法違反です。
    未払いがあった場合には「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」が科される可能性があります(労働基準法第119条)。深夜労働や休日労働の手当を支払っていない場合も同様です。

    刑罰は会社の代表や経営者のほか、実際に違法な残業や未払いを主導していた店長や部長などに科されることもあります。また事案によっては、会社も罰金刑に処せられます(労働基準法第121条)。

  2. (2)労基署の調査にも注意

    残業代未払いは違法行為ですが、未払いの額が大きくなく、悪質性もない場合には、いきなり逮捕されるようなことはありません。

    一般的にはまず労働基準監督署の調査が入ります。労働基準監督官の聞き取りや記録のチェックなどにより未払いが確認され、悪質だと判断された場合には是正勧告を受ける可能性があります。

    是正勧告を無視し続け、改善が見られないといった場合には、書類送検や逮捕に発展することがあるので注意してください。

2、罰則以外で残業代未払いにおける会社側のリスク

残業代をきちんと支払わなければ刑罰を受ける可能性がありますが、会社側にはそれ以外にも次のようなリスクがあります。

  1. (1)企業のイメージが低下する

    残業代の未払いで逮捕されたり書類送検されたりした場合、特に大企業の場合はニュースなどで大きく報道されるでしょう。

    書類送検や逮捕に至らずとも、労基署の調査が入ったり是正勧告を受けたりしただけでも、地域や業界にうわさが広まることがあります。

    「あの会社は従業員にサービス残業をさせていた」「労務管理ができていない」などと思われれば企業の信用は大きく損なわれます。取引先が離反したり、従業員の退職などにつながるなどの恐れがあります

  2. (2)ほかの従業員からも請求される

    残業代の未払いを主張した従業員が一人だけだとしても、その動きが社内に知れわたると、ほかの従業員も続いて「自分も未払いがある」と声を上げる可能性があります。

    サービス残業が常態化していたような職場の場合、複数の従業員が一斉に残業代の支払いを求めれば、金額も膨らみ会社の経営が苦しくなるかもしれません

  3. (3)労働審判や裁判に発展する可能性がある

    従業員から直接未払い残業代の請求を受けたものの対応しなかった場合、労働審判や訴訟を起こされる可能性があります。

    その場合、未払いがなかったことを証明するために証拠を集めたり、主張を展開したりしなければならず、手間や費用の面で大きな負担がかかります。敗訴すれば、会社の信用にも傷がつくでしょう。

  4. (4)遅延損害金・付加金を支払わなければいけない

    未払い残業代の裁判では、未払い分だけでなく「遅延損害金」と「付加金」の支払いが命じられることがあります。

    遅延損害金は、残業代の支払いが遅れたことに対する利息の意味があります。
    訴えた従業員がまだ会社で働いている場合は、一般的に利率は年3%(令和2年4月の民法改正前の事案は6%)ですが、退職している場合は年14.6%にもなります。
    解決までに時間がかかればかかるほど、遅延損害金の額も膨れ上がります。

    付加金とは、未払いに対する一種のペナルティーです。
    付加金は未払い残業代と同額ですつまり付加金が認められると支払額が2倍になります

    たとえば未払い残業代が100万円であったとしても、付加金が100万円プラスされるため、200万円となり、さらに遅延損害金や慰謝料が加わることがあります。
    裁判で敗訴すると、金銭的にはかなり大きな負担となるでしょう。

3、従業員から残業代請求されたら会社側が確認すべきこと

従業員が「残業代がきちんと支払われていない」と訴えてきたとしても、主張する内容がすべて事実とは限りません。そこでまずは次のような事項を確認してください。

  1. (1)本当に未払い残業代があるのか

    まずはその従業員が主張するような残業代の未払いが本当にあるのかどうか、確認しましょう。
    具体的にはタイムカードや職場への入退室記録などから、訴えている内容通りの残業があったのかチェックしましょう。

    まれに記録上は残業しているものの、業務中にパチンコに行っていたというように、どこかで休憩しているケースもあります。その場合には残業代を支払う必要はありません。

  2. (2)みなし残業代、固定残業代ではないか

    みなし残業代制度など、毎月一定の残業をしたとみなして固定の残業代を支払う契約の場合、「すでに残業代は支払われている」と主張できます。

    ただしみなし分を超えて働いていた場合には、その分の残業代を追加で支払う必要があります

    契約書や就業規則を確認するとともに、実際の勤務時間を調べて未払い分があるか確認してください。

  3. (3)残業禁止ではないか

    働き方改革の一環として、近年残業を禁止する職場も少なくありません。
    残業を禁止しているにもかかわらず、勝手に働いてその分の残業代を請求してきた場合には、支払う必要があるかは慎重に検討しなければいけません。

    たとえば残業禁止とうたってはいるものの、実際には上司が残業を黙認していたり、残業をしなければ終わらないような量の業務を課していたりする場合には、裁判などでその分の残業代の支払いが命じられる可能性があります。

  4. (4)時効は成立していないか

    残業代の請求には時効があります。
    もともと時効は2年でしたが、令和2年4月の民法改正により3年に延長されましたなお、法改正前に発生していた残業代については2年が適用されます

    請求内容の一部または全部について時効が過ぎている場合には、その部分は原則として残業代を支払う必要はありません。

    なおこの3年という期間は、あくまで暫定的な措置です。いずれかのタイミングで5年に延長されるとみられています。

    また時効を成立させるためには、時効が過ぎていることを相手に伝える「援用」という手続きをしなければいけません。

  5. (5)管理監督者ではないか

    労働基準法で規定された「管理・監督者」にあたる場合、残業代は発生しません(労働基準法第41条)。管理監督者の場合は、残業代を主張されても応じる必要はありません。

    ただし部長などの肩書があるものの、実際の業務内容はアルバイトと変わらないような場合は「名ばかり管理職」と判断され、残業代を支払わなければならなくなる可能性があるので注意してください

4、残業代未払いについて企業が行うべき対策

残業代の未払いは金額が低ければ小さな問題に思えるかもしれませんが、対応を誤れば大きな問題に発展する可能性があります。企業は適切に対応しなければいけません。

  1. (1)無視はしない

    従業員から未払い残業代があると主張された場合、絶対に無視をしてはいけません。

    訴えに耳を貸さず、逆にその従業員を冷遇するような対応をした場合、労基署に申告されたり、労働審判や裁判を起こされたりする可能性があります

    もし本当に未払いがある場合、無視をすれば事態は悪化するでしょう。管理部門が把握していないだけで、現場ではサービス残業が横行しているかもしれません。
    まずは話を聞き、事実関係を確認しましょう。

  2. (2)会社の制度の見直し

    企業や職場によっては、そもそも賃金制度や労働環境などが未払いの発生しやすい仕組みになっている可能性があります。
    その場合、その仕組みを是正しなければ今の問題は解決できても今後も同様の事態が起きるかもしれません

    未払い残業代への対応とともに、企業風土の改善や賃金制度の見直しも検討しましょう。

  3. (3)弁護士に相談

    残業代の未払いがあった場合、刑事罰のほか、会社のイメージダウンや遅延損害金・付加金の支払いなど、さまざまな影響が生じる可能性があります。
    中小企業の場合、これをきっかけに会社の存続危機に陥るかもしれません。

    そうなる前に、できるだけ早く弁護士に相談しましょう。
    残業代に詳しい弁護士であれば、本当に未払いがあるかどうかの確認や証拠の収集などを迅速に進めてくれます。従業員への対応方法のアドバイスもしてくれるでしょう。

    労働審判や裁判に発展した場合でも、法律に詳しい弁護士がいれば安心です。書類作成なども任せられるため手間や時間が省け、業務への影響も抑えられます。

5、まとめ

未払い残業代の問題は、適切に対応しなければ世間から「ブラック企業」のレッテルを貼られる可能性もあります。そのため従業員から請求を受けたら、すぐに弁護士に相談しましょう。ベリーベスト法律事務所 川崎オフィスでは、未払いの確認から従業員との交渉、裁判まで弁護士がトータルで対応いたします。早期解決のために、まずはご事情をお聞かせください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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