離れて暮らす家族が保険金詐欺で逮捕!? 弁護士に相談すべき理由とは
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川崎市のホームページでは、「最新の犯罪情報」としてオレオレ詐欺や還付金詐欺の注意喚起が行われています。多くの方にとって、「詐欺事件は自分が被害にあわないように気を付けるもの」とお考えかもしれません。
しかし、ある日突然、遠くで暮らしている家族が自動車保険金詐欺で警察に逮捕されてしまったら……。多くの方が混乱し、逮捕されてしまった本人の今後を心配することは当然のことです。しかし、逮捕後の流れや注意点についての知識がなく、不安を抱くのではないでしょうか。
そこで本コラムでは、家族が自動車保険金詐欺で逮捕されてしまったケースを想定し、詐欺罪の量刑や逮捕後の流れ、逮捕された本人のためにできることを、川崎オフィスの弁護士が解説します。
1、自動車保険金詐欺とは?
「保険金詐欺」には、さまざまな種類があります。ドラマや小説が比較的多いことから、生命保険金詐欺を連想される方もいるかもしれません。
しかし、実際は自動車保険金目的の詐欺事件が多く発生しています。平成31年1月にも、事故を装った保険金詐欺容疑で女性が逮捕されたという報道がありました。ここでは、事故を装った自動車保険金詐欺の内容や詐欺罪の適用条件について解説していきます。
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(1)自動車保険金詐欺の手口とは
自動車保険金詐欺とは、損害保険金を得ることを目的とした詐欺行為を指します。
具体的には、実際には行われていない車両の盗難や事故を装い、本来は発生していない損害をあたかも事実かのようにでっちあげ、保険金を不正に受け取ろうとする行為です。特に車体の修理費用の水増し請求は罪の意識が低くなる傾向にあるのか、不正な請求をしようとするケースが多くみられるようです。 -
(2)どのような場合に詐欺罪が適用される?
損害保険会社への不正申請の結果、実際に詐欺罪が適用されるケースとは、実際のところどのような場合でしょうか。
刑法第246条では、「人を欺いて財物を交付させた者」を詐欺罪として処罰することが定められています。
したがって、実際にはなかった事故が起きたかのように見せかけて保険金を受け取るケースは、まさに詐欺罪に該当します。あるいは、実際にあった事故の修理費用に水増しして保険金を請求し受け取った場合にも、詐欺罪として罰せられるおそれがあります。
さらには、たとえ保険金を最終的に受け取れなかったとしても、だまして金品を受け取ろうとした時点で詐欺罪が成立する可能性がある点に注意が必要です。
2、保険金詐欺の量刑を解説
詐欺罪に関する量刑は、刑法第246条において「10年以下の懲役に処する」と定められています。
懲役刑は、判決が下されたのち刑務所に収監される刑罰です。詐欺罪は、直接詐欺をはたらいた人間は当然ながら、この詐欺について協力・加担した者についても適用されます。
また、刑法上の罪ではありませんが、保険会社を欺いて金品を受け取ったことにより、保険会社に対しては民事上の損害賠償の義務を負うことがあります。
3、保険金詐欺で逮捕されたあとの流れ
日常生活を送っていると、警察に逮捕されるということはほとんどありません。そのため、逮捕されてしまったあと、どのような流れで手続きが進んでいくのか知らない方が多いはずです。逮捕後の手順を下記で解説します。
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(1)警察による取り調べ
詐欺罪の容疑をかけられ逮捕された場合には、警察で取り調べを受けます。警察の捜査は逮捕から48時間以内です。
事実を確認するために警察から厳しい取り調べを受ける可能性があります。罪を犯していた疑惑が晴れた場合は、次のプロセスへ移る前に釈放されるケースもあるでしょう。 -
(2)検察による取り調べ
警察の取り調べが終わると、事件や身柄は検察へ引き渡され、検察による取り調べを受けることになります。ニュースなどでは送検と呼ばれているこのプロセスは、法律用語では「送致」と呼ばれています。
警察から送致を受けた検察は24時間以内に、引き続き身柄の拘束を行いながら取り調べを行う「勾留(こうりゅう)」が必要かどうかを判断し、裁判所へ勾留請求を行います。勾留が認められたら、まずは10日間、最長20日間身柄の拘束を受けたまま検察の取り調べを受けることになります。
他方、勾留は行われず、身柄が解放され帰宅したのち、検察の呼び出しに応じて取り調べを受ける「在宅事件扱い」になることがあります。いずれにしても、検察からの取り調べのあと、疑いが晴れた場合や、証拠がなく犯罪の事実が認められない場合は釈放されます。 -
(3)裁判による判決
検察による取り調べが終わると、検察は裁判所に対して刑罰を求めるよう訴えを起こす「起訴」を行うかどうか決定します。日本の検察は、犯罪の証拠がじゅうぶんにそろっている状態で起訴するケースが多いため、起訴された場合は99%以上の確率で有罪になります。有罪になれば、たとえ執行猶予付きの判決が出たとしても前科が付くということです。
4、遠方に住む家族できることとは?
保険金詐欺罪で逮捕されてしまった本人のために家族ができることは、まずは落ち着いた行動をとることです。本当に逮捕されたのかどうか、実際に警察署へ問い合わせて確認してください。
逮捕が真実であれば、原則、逮捕から3日間は家族であっても面会ができません。逮捕された本人の状況が少しでもよくなるように弁護士によるサポートを受けてください。
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(1)速やかに弁護士へ相談する
逮捕された本人は、取り調べを数多くこなしている捜査機関による取り調べを受けます。逮捕されたことで気持ちが動転し、孤立無援の中、冷静に取り調べを受けるのは非常に難しいでしょう。言わなくてもいいことを言ってしまったり、やってもいないことをやったと発言してしまったりする可能性も考えられます。
しかし、弁護士に依頼すると、弁護士はまず警察署に面会(接見)に向かいます。たとえ逮捕から3日以内であっても、弁護士であれば自由に面会することが可能です。依頼を受けた弁護士は、取り調べの受け方についてアドバイスをしたり、今後の流れを教えたりすることができます。あなた自身や逮捕された本人に事故や法律の知識がなくても、弁護士からアドバイスを受けることで安心した状態で取り調べに臨むことができるでしょう。 -
(2)弁護士の種類
刑事事件に対応する弁護士は、当番弁護士、国選弁護人、私選弁護人がいます。
当番弁護士とは、被疑者のために弁護士会から派遣される弁護士です。逮捕後1度だけ無料で呼ぶことができ、取り調べの注意点や刑事事件の流れを教えます。当番弁護士に、その後も弁護活動をしてもらいたい場合は、別途弁護費用を支払い、私選弁護人として依頼する必要があります。
国選弁護人とは、費用面で私選弁護人の選任が難しい場合に依頼できる、国が選任した弁護士です。原則、勾留が決定してからでなければ依頼できず、「だれがいい」などの選択はできません。また、依頼人の個人資産などにも制限があります。
私選弁護人は、被疑者本人やその家族の意思で選任する弁護士です。当番弁護士や国選弁護人のような一定の制限がなく、どのタイミングにおいても依頼者の希望に沿った弁護活動ができます。逮捕されてからはもちろん、「逮捕されるかもしれない」という段階からアドバイスが可能です。保険金詐欺をしてしまったのであれば、逮捕される前に保険会社と示談交渉をするなど、重すぎる罪に問われないよう、早い段階からサポートすることができます。
5、弁護士ができること
逮捕されたあとは早期の対応が肝となりますので、ご家族は本人のためにもすぐに弁護士に依頼し、今後のアドバイスを受けましょう。弁護士は次のような活動をすることができます。
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(1)弁護士には面会という特権がある
逮捕後の身柄拘束の時間は、警察が48時間、検察が24時間とそれぞれ決まっています。前述の通り、身柄が拘束されている72時間は原則的に家族でも面会することはできません。
しかし、その時間内も弁護士なら本人と面会することができます。逮捕直後、本人は家族にも会えず、精神的にもっとも混乱しているときでしょう。法律職の弁護士からアドバイスを受けられるのは大きなメリットとなります。 -
(2)不起訴処分の獲得や減刑への働きかけ
弁護士に弁護を依頼すると、検察官や裁判官への意見書提出、被害者との示談交渉など、具体的な活動をしてくれます。これにより、不起訴処分の獲得や早期の身柄釈放に期待できます。
また万が一起訴されてしまった場合でも、減刑や執行猶予付け判決の獲得に向け、あらゆる証拠を集めて裁判に備え、主張を行います。
6、まとめ
保険金詐欺で逮捕されてしまうと、本人はもちろん、家族も多大なる不安を抱えるでしょう。学校や会社はどうなるのか、逮捕の事実が周囲に知られることはないだろうかなど、心配は尽きないはずです。
将来に受ける影響を最小限に抑えるためには、まずは弁護士に相談し、事件の早期解決に努める必要があります。迅速な行動が逮捕された本人だけでなく、ご家族にとっても重要なカギを握ることになるでしょう。
もしもあなたの家族が自動車保険金詐欺で逮捕されてしまったら、ベリーベスト法律事務所 川崎オフィスまでご相談ください。遠方で逮捕されたケースにおいても、全国にオフィスがあるベリーベスト法律事務所であれば素早い対応が対応可能です。川崎オフィスの弁護士が、事件の解決に向けてサポートいたします。
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