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犯罪収益移転防止法とは? 罰則や弁護士がサポートできること

2022年10月06日
  • 財産事件
  • 犯罪収益移転防止法
  • 罰則
犯罪収益移転防止法とは? 罰則や弁護士がサポートできること

不要になった口座を誰かに譲ってもよいのではないか、と考えている方は注意が必要です。

川崎信用金庫のホームページでは、「口座売買や譲渡の話をもちかけられても、絶対に応じてはいけない」という注意喚起がなされています。もしこれらが発覚したときは、川崎信用金庫での現在の取引停止に加えて、将来の取引もできなくなるようです。

このような注意喚起がなされているように、金融機関の口座にかかる通帳やキャッシュカードの譲渡・売買は犯罪です。口座売買を規制する法律として、「犯罪収益移転防止法」があります。

本コラムでは、犯罪収益移転防止法の概要や注意しなければならない典型的な法律違反のケース、違反の容疑をかけられてしまった場合の対策などについて、ベリーベスト法律事務所 川崎オフィスの弁護士が解説します。

1、犯罪収益移転防止法とは

犯罪収益移転防止法とは、正確には「犯罪による収益の移転防止に関する法律」といいます。略して「犯収法」とも呼ばれていますが、あまり聞き慣れた名称ではないでしょう。どのような法律なのか、以下で解説いたします。

  1. (1)犯罪収益移転防止法の目的

    犯罪組織やテロ組織は、犯罪行為による収益(犯罪収益)を得て巨大化していきます。得たお金に関しては、出所を不明確にするために金融機関の預貯金口座を転々と送金させる、などのことが行われます。
    そのため、これら組織の活動を抑止するには、犯罪収益の移転を防止することが極めて効果的です。

    犯罪で得た収益の移転を予防したり、実際に移転が行われた場合に移転の経路等を確認したりするためには、資金を扱う業者の協力が欠かせません。
    そこで、資金を扱う業者である銀行や信用金庫などの金融機関、貸金業者、暗号資産の交換業者などが「特定事業者」と定められており、取引時の確認などの義務付けがされています。

    犯罪収益移転防止法は、こうして疑わしい取引を監視し、資金の移動を防いだうえで、不正行為を処罰することが目的の法律です。

  2. (2)「犯罪収益」とは?

    犯罪収益移転防止法の指す「犯罪収益」とは、不正な利益を得る目的で犯した罪によって生じた財産や犯罪行為の報酬として得た財産のことです。

    たとえば、窃盗や詐欺、横領といった財産犯によって得たお金、覚醒剤や大麻などを販売して得たお金、テロ組織などが計画実行のために用意した資金などが犯罪収益に該当します。

  3. (3)特定事業者に課せられる義務

    金融機関などの特定事業者に課せられている義務は、主に次の3つです。

    • 取引時の確認
    • 確認記録の保存
    • 疑わしい取引の届出


    特定事業者が取引をする際は、本人特定事項や取引目的の確認義務、確認記録を7年間にわたって保存する義務が定められています。

    顧客の取引について、犯罪収益にあたる可能性があることを認知した場合は、事業者ごとに定められた届出行政庁に「疑わしい取引」の届出の提出が行われます。
    そして、疑わしい取引の情報は警察庁を経由して警察に提供され、事件捜査を担当する管轄の警察が捜査を進めるという仕組みです。

2、犯罪収益移転防止法違反の典型的な事例

犯罪収益移転防止法違反となる典型的な事例を挙げていきましょう。ここでは、主に口座売買に関する違反に注目します。

  1. (1)特殊詐欺グループに所有していた口座を売却した

    SNSやネット掲示板を中心に「手軽なアルバイト」「簡単な小遣い稼ぎ」「即日・日給○万円」などという謳い文句で口座売買に誘われて、通帳やキャッシュカードを売り渡してしまうケースは、犯罪収益移転防止法違反のもっとも典型的な形態です。

    「使っていない口座があるから」「お金に困っているから」といった理由で売却した口座の多くは、特殊詐欺グループの犯行ツールとして悪用されてしまうことに留意しましょう。

    売却口座が詐欺に遭った被害者の送金先として使用されると、疑わしい取引として特定事業者である金融機関から警察に報告がいき、違反行為が発覚する事態になります。
    被害者が警察に被害を申告した場合も、口座情報から個人が特定されることになるため、同様に捜査対象となります。

  2. (2)闇金業者に融資の担保としてキャッシュカードを譲渡した

    闇金業者からお金を借りようとしたところ、「キャッシュカードを担保として預かる」と言われたのでカードを預けたら、闇金の送金・返済口座や特殊詐欺などの犯罪に悪用されてしまった、というケースも確認されています。

    口座名義人は「担保として預かる」と言われた立場であり、むしろ「キャッシュカードをだまし取られた、こちらが被害者だ」と反論したくなるでしょう。

    しかし、通帳やキャッシュカードは、口座名義人だけに使用が認められているものです。
    そのため、有償・無償を問わず他人への譲渡が禁止されています。さらに、キャッシュカードを預けた理由は「担保のため」であり、借金をするための対価として用いられていることから、有償で譲渡したものという評価も避けられません。

    犯罪になるという自覚や悪意がなくても、犯罪収益移転防止法違反になってしまう典型例です。

  3. (3)売却・譲渡目的で口座を開設すると詐欺罪

    口座売買のパターンは、大きくわけると以下の2つあります。

    • すでに開設・所有している口座を売却・譲渡した
    • 売却・譲渡の目的で新たに口座を開設した


    犯罪収益移転防止法違反にあたるのは前者です。
    また、後者は罪に問われないのかというと、そうではありません。

    売却・譲渡の目的で口座を開設する行為は、銀行に対する刑法第246条の詐欺罪にあたります。自分で使用するかのように装って口座を開設し、通帳やキャッシュカードをだまし取ったという形で詐欺と見なされるのです。

    どちらのパターンだったとしても、口座が悪用されれば金融機関や警察に発覚するという流れは変わらないでしょう。「そんなに悪いことはしていない」と思っていても、詐欺グループや闇金業者の犯行に加担してしまっているので、罪を問われる事態は避けられません。

3、犯罪収益移転防止法違反の罰則

犯罪収益移転防止法の定めに違反すると、刑罰を受けることになります。

口座売買に関する罰則が定めているのは、同法第28条です。同条2項では、「相手が名義人を装って使用する目的をもっていることを知っていたのに、通帳やキャッシュカードを譲渡・交付・提供した者」について、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはこれらの両方が科せられると明記しています。

特殊詐欺や闇金といった犯罪目的ではなくても、第三者が名義人を装って何かしら使用する目的があることを知っているような状態では、本罪の成立を免れることはできません。

なお、先ほど述べた売却・譲渡の目的で口座を開設する行為などについては、犯罪収益移転防止法違反のほか、詐欺罪に問われることもあります。
詐欺罪の刑罰は、10年以下の懲役(刑法246条)です。懲役の上限が高いこと・罰金で済まされないことの2点に照らすと、犯罪収益移転防止法違反よりも厳しい刑罰が規定されているといえます。

4、口座売買・譲渡に関与してしまったら弁護士に相談を

口座売買や譲渡に関与してしまうと、犯罪収益移転防止法違反や詐欺罪に問われる危険があります。
直ちに弁護士に相談して、サポートを求めましょう。以下では、弁護士に依頼する3つのメリットをご紹介いたします。

  1. (1)被害者との示談交渉を一任できる

    犯罪収益移転防止法違反などで容疑をかけられるケースの多くには、背景に特殊詐欺や闇金業者が起こした事件の被害者が存在しています。

    犯罪を実行したのは詐欺グループや闇金業者ですが、口座を提供してしまった名義人は図らずもその犯行に加担してしまっているため、被害者からみれば両社の立場に違いはありません。

    弁護士に相談すれば、売買・譲渡した口座に関連した事件の被害者との示談交渉を一任することができます。
    被害者に対して、被害を生じさせてしまったことの真摯な謝罪と被害の弁済を尽くすことで、処分が軽減される可能性が高まるでしょう。

  2. (2)警察への自首の同行を依頼できる

    口座の売買・譲渡に関与してしまっても、すぐに悪用されるとは限りません。
    詐欺グループや闇金業者に悪用されないようにするために、金融機関の窓口に通帳・キャッシュカードの紛失を申告し、自ら取引を停止させるのが最善策です。先回りして停止できれば、通帳・キャッシュカードは悪用できなくなります。

    とはいえ、この対策で防げるのは売買・譲渡した口座の悪用であり、通帳やキャッシュカードを売買・譲渡した事実がなくなるわけではありません。
    犯罪収益移転防止法違反や詐欺罪に問われる危険が完全に消えるわけではないので、別の対策も必要です。

    逮捕や厳しい刑罰に不安があるなら、被害者や金融機関が警察に申告する前に「自首」したほうがよいかもしれません。

    口座の売却・譲渡が発覚するよりも前で、まだ口座が悪用されていない状況なら、法律上の自首が成立する可能性があります。法律上の自首とは、捜査機関が犯罪や犯人を特定するよりも前に自らの犯罪を申告し、処分を委ねる手続きです。
    有効に自首が認められると、法律が定める刑罰の下限が半減する「刑の減軽」の適用が期待できます(刑法42条1項)。

    ですが、警察への自首は心細いものです。逮捕や刑罰への不安だけでなく、警察が正しく自首として扱ってくれるのかという心配も尽きません。

    そこで、弁護士に相談すれば、自首に同行することが可能です。弁護士が同行することで、適切な自首の適用や不当逮捕の防止にもつながります。
    自首が有効な状況であるかの確認を含めて、弁護士に相談しましょう。

  3. (3)早期釈放や不起訴などの有利な処分が期待できる

    犯罪収益移転防止法違反などの容疑で警察に逮捕されると、逮捕・勾留によって最長で23日間にわたる身柄拘束を受けるおそれがあります。一般社会から完全に隔離されてしまうので、家庭・仕事・学校といった社会生活への影響は甚大です。
    身柄拘束からの早期釈放を望むなら、弁護士のサポートは欠かせません。

    また、犯罪収益移転防止法違反などの容疑がかけられたとしても、必ず刑罰を受けるわけではありません。検察官が「起訴」しなかった場合は刑事裁判が開かれないので、刑罰を受けることも、前科がついてしまうこともないのです。

    検察官が起訴しないことを「不起訴」といいます。
    不起訴を得るには、被害者との示談成立等の被害回復に加え、家族による監督強化の誓約などの再犯防止対策を充実させることが重要です。どのような対策が有効なのかといった判断も含めて、弁護士に対応を任せましょう。

5、まとめ

犯罪収益移転防止法は、詐欺グループ・闇金業者・テロ組織などの犯罪集団の資金移動を断つことを目的として定められた法律です。

法律の目的に照らすと、一般市民の生活には無関係なものに感じられるかもしれませんが、通帳やキャッシュカードの売買・譲渡など、アルバイトや小遣い稼ぎの感覚で巻き込まれてしまうケースも珍しくありません。

厳しい刑罰も予定されている犯罪なので、同法の違反にあたる行為があった場合は、警察が認知しているかどうかにかかわらず、素早く対策を講じる必要があります。

犯罪収益移転防止法違反の容疑をかけられている、あるいは口座売買などに関与してしまったことなどで逮捕や刑罰に不安を感じているなら、刑事事件の経験実績が豊富なベリーベスト法律事務所 川崎オフィスまでご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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