連帯保証人と保証人の違いとは? 家賃を請求された時の対処法を解説
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「絶対迷惑はかけないから」。
そう言われて、引き受けてしまった連帯保証人。
ところが相手が家賃を滞納し、連帯保証人である自分に請求がきた……。
このように保証契約では、支払いが滞れば保証人が肩代わりを求められます。
ところが実際に保証人になる方は、保証人と連帯保証人の違いや支払えない場合はどうなるかなど、詳しく知らずに引き受けてしまっていることも少なくありません。
そこで本コラムでは、保証契約でトラブルになっている方に向けて、保証人や連帯保証人について解説します。
1、保証人と連帯保証人の3つの違い
保証人と連帯保証人を同じものと考えている方も多いでしょう。ですが、実際には大きな違いがあり、契約の際はどちらの立場であるのかをきちんと確認しておく必要があります。まずは両者の違いについてご説明します。
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(1)保証契約とは
保証契約とは、本来支払いや返済をするべき主債務者が支払わなかった場合に、代わりにその義務を負い支払いをすると約束することです。
借金をする際や賃貸アパートを借りる際、奨学金を申し込む際など、さまざまな場面で利用されています。
契約内容によって「保証人」と「連帯保証人」に区別され、両者は責任の重さが大きく異なります。
「連帯」という言葉には共同で責任をとるという意味があり、連帯保証人は主債務者と同程度の支払い責任を負っています。
保証人は連帯保証人にはないさまざまな権利を持っており、責任の程度も軽くなります。
具体的には次の4点で違いがあります。 -
(2)催告の抗弁権の有無
「催告の抗弁権」とは、債権者が主債務者の借金や滞納家賃の支払いを求めてきた場合に、「まず主債務者へ請求してください」と突っぱねることができる権利のことです(民法第452条)。
保証人にはこの催告の抗弁権がありますが、連帯保証人にはありません。
そのため、主債務者に請求をする前に連帯保証人に請求があったとしても、支払わなければいけません。 -
(3)検索の抗弁権の有無
「検索の抗弁権」とは、主債務者に返済能力があるにもかかわらず肩代わりを求められた場合に、「主債務者は支払えるはずなので、こちらは支払いません。強制執行で差し押さえてください」などと突っぱねることができる権利のことです(民法第453条)。
ただし、実際に支払いを拒否できるのは、返済能力があると証明できた場合のみです。
保証人にはこの検索の抗弁権がありますが、連帯保証人にはありません。
そのため、主債務者に返済できるだけの資金があったとしても、連帯保証人は請求を受けたら支払わなければいけません。 -
(4)分別の利益の有無
「分別の利益」とは、保証人が複数いる場合、保証人の数で割った分だけを負担すれば良いという仕組みです。
保証人には分別の利益がありますが、連帯保証人にはありません。
たとえば、主債務者に100万円の借金があり保証人が二人いた場合、保証人はそれぞれ自分の負担分である50万円だけを支払えば良いことになります。
一方で連帯保証人は、請求されれば100万円全額を支払わなければいけません。 -
(5)主債務者が債務整理をしても責任は残る
主債務者が自己破産や個人再生などの債務整理をした場合、本人は全額または一部の支払いを免れることができます。
ところが、支払いを免除されるのは、あくまで主債務者だけです。
連帯保証人は債権者と保証契約を交わしているため、まだ返済の義務はあるのです。
そのため、残った借金を代わりに返済しなければいけません。
2、連帯保証人が請求を無視したらどうなる?
主債権者が家賃を滞納していると、いずれ保証人に「代わりに支払って」と請求がきます。その場合、必ず支払わなければいけないのでしょうか?
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(1)支払わなければ財産が差し押さえられる
連帯保証人として家賃の支払いを求められても、住んでもいない家の家賃を支払うことには納得がいかないでしょう。
また、支払いたくても支払うだけの資産がないかもしれません。
一般的に、債権者はまず次のような手段で請求をしてきます。- 電話や対面での交渉
- 内容証明郵便を使った文書での督促
それでも支払ってもらえない場合は、次のような法的手段に移行します。
- 支払督促
- 民事調停
- 裁判
調停で支払いに合意したり、裁判で支払いが命じられたりしたにもかかわらず支払わない場合には「強制執行」という手続きがとられます。
強制執行とは預貯金や給与、不動産などを差し押さえて強制的に回収することです。
債権者からの呼びかけを無視していると、最悪の場合、財産を差し押さえられる可能性があります。
絶対に請求を無視してはいけません。 -
(2)肩代わりした分は請求が可能
連帯保証人は債権者から請求を受けたら、原則としてすぐに支払わなければいけません。
ですが肩代わりした家賃や借金は、主債務者に返還を求めることができます。
これを「求償権」といいます。
ただし、主債務者に支払えるだけの財産がなかったり、破産していたりした場合には、返済してもらうことができません。
また、保証人が複数いる場合には、債務を頭数で割り、自分が多めに支払った分をほかの保証人に請求できます。
たとえば、借金が100万円で保証人が二人いる場合、全額を支払った方が、もう一人に50万円の支払いを求めることが可能です。
ただし、肩代わりする際には、事前に主債務者に連絡をしなければいけません。
連絡をせずに勝手に支払うと、求償権に制限が課されますので注意してください。
3、連帯保証人をやめることはできる? 解除の方法と対処法
責任の重さを知らずに連帯保証人になってしまったというケースは少なくありません。「保証人をやめたい」と思っても、それはかなり難しいのが実情です。ただし、限られた手段ですがやめられる可能性はあります。もし解除できない場合には別の対処法をとりましょう。
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(1)別の連帯保証人を立てる
連帯保証人は、自らの意思だけで保証契約を解除できません。
債権者が同意してくれればやめることはできますが、それでは担保がなくなるため、まず認めてもらえません。
ですが、連帯保証人の「交代」であれば、債権者に受け入れてもらえる可能性があります。
たとえば、離婚した妻の保証人になっている場合、妻の再婚相手に代わってもらうという方法が考えられます。
ただし、新しい連帯保証人には安定した収入があるなど、債権者に信用してもらえるだけの材料が必要です。
また、新しい連帯保証人にとっては重い責任を負わされるだけで何のメリットもないため、そもそも受け入れてもらえない可能性は高いでしょう。
連帯保証人を交代する以外に、不動産など物的担保を差し出すという方法もあります。 -
(2)契約の無効・取り消しを主張する
連帯保証契約そのものに問題があった場合には、契約自体が無効または取り消しとなります。
無効または取り消しとなる可能性があるのは、主に次のようなケースです。- 契約書に勝手に署名・押印された
- 詐欺・脅迫を受けて契約させられた
- 内容を勘違いしていた(錯誤)
- 未成年者が契約した
- 個人の根保証契約で責任を負う上限額の設定がなかった(平成31年4月1日以降の契約に適用)
- 個人が事業用融資の保証人になった際に公証人による意思確認をしていなかった(平成31年4月1日以降の契約に適用)
これらに該当する場合には、内容証明郵便での通知や訴訟を行いましょう。
契約の無効・取り消しが認められれば、債務の肩代わりをせずに済みます。
ただし1円でも請求に応じて支払ってしまうと、「追認」という連帯保証を認める行為をしたことになってしまいます。
すると、無効や取り消しが難しくなりますので、注意してください。
4、保証人のトラブルを弁護士に相談すべき理由
「債権者から高額な支払いを求められている」「勝手に連帯保証人にさせられていた」などの保証契約のトラブルは、すぐに弁護士に相談しましょう。次のようなサポートを受けることができます。
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(1)債権者との交渉を任せられる
債権者から主債務者に代わって支払いを求められている場合、まずは債権者と交渉をしましょう。
資産の状況などを説明することで、借金の減額や分割返済などに応じてもらえるかもしれません。
債権者との交渉は緊張する、怖いと思う方もいると思いますが、弁護士に頼めば自ら交渉をする必要はなく、法律に基づき論理的に話し合いを進めてくれます。 -
(2)裁判を任せられる
印鑑を持ち出されて勝手に連帯保証人にされていた場合や、立て替えた分を主債務者に請求する場合などは、裁判を起こす必要があります。
裁判をする際には訴状の準備から証拠の収集、法廷での主張など、さまざまなことをやらなければいけません。
法律の知識がない方が一人で行うことはかなり困難であり、敗訴すれば連帯保証人をやめることができないうえに、時間と費用の無駄となってしまいます。
そのため法律の専門家である弁護士の協力は必須です。 -
(3)債務整理のサポート
連帯保証人としての支払いが困難な場合は、債務整理を検討しましょう。
債務整理には自己破産、個人再生、任意整理があり、借金をゼロにしたり減額したりできます。
ただし、利用には条件がありメリット・デメリットもあるため、事前によく検討する必要があります。
債務整理に詳しい弁護士に相談すれば、ご自分にあった方法を選んでくれるうえに、書類の作成など面倒な手続きも任せることができます。
5、まとめ
連帯保証人に関するトラブルは頻発しており、お困りの方も多いでしょう。ただ負っている責任が重いため、個人で解決することは簡単ではありません。すぐにベリーベスト法律事務所 川崎オフィスの弁護士にご相談ください。
弁護士はこれまでの経緯や財産の状況などを確認し、対処方法を考えます。お客さまの負担を軽くするよう、債権者との交渉や裁判などもできる限り代行いたします。お悩みの方は、まずは一度ご連絡ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています