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遺産相続で寄与分を主張したい! そろえるべき証拠や手続き方法とは

2019年09月05日
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遺産相続で寄与分を主張したい! そろえるべき証拠や手続き方法とは

親族が亡くなり、葬儀などが無事終了した後に行われるのが遺産相続です。たとえば、川崎市内に土地建物を所有していた方はもちろん、預貯金を持つ方、借金がある方が亡くなったときなどでも、当然、遺産相続は発生します。場合によっては親族間でもめてしまうこともありうるでしょう。

特に、被相続人が病気を患っている、介護が必要であるといった場合、同居している息子の嫁などが実質的に世話をすることが多々あります。ただし血のつながっていない夫の親が亡くなった場合、基本的に息子の嫁には相続の権利が与えられません。そこに不公平感を持つケースは少なくないはずです。しかし、一定の条件を満たした場合、寄与分として相続を認めてもらうことが可能であることをご存じでしょうか。

本コラムでは、寄与分の考え方、具体的な手続き方法とそろえるべき証拠について、川崎オフィスの弁護士が解説します。

1、遺産相続における寄与分の基礎知識

まずは遺産相続を行うにあたって知っておきたい寄与分の考え方について解説します。誰にその権利があるのか、またその条件を見ていきましょう。

  1. (1)寄与分とは?

    遺産相続の話し合いは、法定相続人同士で行われます。法定相続人とは、民法で定められた相続人のことをいいます。被相続人の配偶者は常に相続人になります。

    配偶者以外の法定相続人には、以下の通りに順位が決められています。

    • 第1順位……被相続人の子ども、孫など直系卑属
    • 第2順位……被相続人の父母、祖父母など直系尊属
    • 第3順位……被相続人の兄弟および姉妹


    これらの取り決めを元に遺産分割協議を行いますが、法定相続人のなかでも被相続人の財産を守り、増やすのに貢献した人には寄与分が認められます。たとえば、同じ被相続人の子どもであっても、1人は県外に出て行き、もう1人は被相続人から受け継いだ家業を切り盛りしていた場合に、貢献度は後者が高くなります。

    このように寄与、つまり貢献に応じて遺産の額を上乗せすることを、寄与分と言います。貢献は例にあげたように、実質的な金銭などの財産だけにかかわらず、介護などの療養に対する貢献も含みます。

  2. (2)寄与分が認められるのは共同相続人だけ?

    寄与分が認められるのは基本的には共同相続人です。ここで言う共同相続人とは、法定相続人と同じ人を指します。遺産分割協議が合意するまで、財産は相続する権利がある相続人共同のものとなります。そこで相続開始から合意までの期間、共同相続人と呼ばれます。

    共同相続人であることが寄与分を受けられる大前提である以上、相続人以外の人が介護をしていたり、事業を手伝っていたりした場合、彼らには寄与分を受ける資格がありません。

    ただし例外として、共同相続人の配偶者が被相続人の財産の維持、増加に貢献している場合、配偶者に近い関係にある共同相続人の寄与とみることにより、遺産分割の手続きの中で紛争の解決を図る場合があります。たとえば、被相続人の長男の嫁が献身的に介護をしていた場合、長男の寄与分として上乗せされた事例は多々あります。

  3. (3)寄与分を認めてもらうための条件と事例

    寄与分を認めてもらうための条件は、民法第904条の2第1項に規定されています。

    一般的には以下のような状況であれば、寄与分を認めてもらえる可能性があります。

    • 共同相続人であること
    • 被相続人の財産を維持する、もしくは増加させることに貢献したこと
    • 特別の寄与行為であること
    • 特別の寄与行為に対する見返りや報酬を得ていないこと
    • 特別の寄与行為に3~4年程度の継続性が認められること
    • 特別の寄与行為については、手伝いといった片手間ではなく専従していたこと


    具体的な5つの事例は以下の通りです。

    ●家事従事型
    家業などに無報酬もしくは少ない手当で従事していた場合

    ●金銭等出資型
    借金の返済を肩代わりする、住宅購入などの費用を出すなど金銭的な援助をしていた場合

    ●療養看護型
    介護を自らが行うことで付き添い看護費用などが不要となった場合
    ※通常の関係性以上の行為であることが条件

    ●扶養型
    通常行うべき扶養の範囲を超えた行為をした場合
    ※配偶者同士など法定相続人間で行う扶養義務がある関係性は除く

    ●財産管理型
    保有している土地など、財産の管理を行い、管理費用などが不要となった場合

2、遺産相続時に寄与分を主張するための具体的手順

遺産相続において、寄与分を主張するために必要とされる証拠や具体的手順に加えて、平成30年度の民法改正の影響について知っておきましょう。

  1. (1)寄与分を主張する際は証拠が必要

    寄与分を主張するには、ただ言葉で「介護をしていました」「家業を手伝っていました」と伝えるだけでは不十分です。たとえ事実であっても、認められることはありません。

    たとえば妻が夫の父親の介護を献身的にしていたということは、同居している夫にはその大変さも含め理解できるでしょう。しかし法定相続人のすべてがそれを目にしているわけではないため、相続人同士が事実を提示し、共有することが重要です。そのために、目で見て分かる証拠を出す必要があります。

    家庭裁判所において遺産分割調停を行うにあたっても、証拠の有無と寄与分に該当するかどうかが争点となります。

    具体的には、以下のような証拠を集めておきましょう。

    ●介護の場合
    介護日記が一般的ですが、いつからいつまで介護に費やしていたなど、事実が分かるものがよいです。もし、介護のために仕事を休んだ場合はシフト変更の事実なども記載している書類が望ましいでしょう。介護費として使ったお金のレシートなども保管しておくことをおすすめします。

    さらに、カルテや診断書、介護認定を受けた書面など、介護が必要であったことを示す書類も有効です。

    ●家業を手伝っていた場合
    タイムカードや契約書があれば用意してください。ない場合は取引先の方とのメールのやり取りや証言などを準備する必要があるでしょう。

    ●金銭などの出資をしていた場合
    通帳の写しなど金銭を渡した証明や、クレジットカードを利用した場合は利用明細などを準備しましょう。

  2. (2)寄与分を主張する際の3つの手順

    一般的には、次のような順番で寄与分を認めてもらえるよう働きかけることになります。

    ①遺産分割協議の場で主張する
    寄与分を獲得するには、寄与分を求めるのに相応する「貢献の事実」を主張する必要があります。ただし被相続人の息子の妻などは事実上、共同相続人でないため相続の権利自体がありません。その場合は、本人に代わって夫が主張するのが通例です。

    共同相続人が集まって行う遺産分割協議で、夫が妻の寄与分を主張した場合、すべての人がそれに理解を示すとは限りません。主張された寄与分を認めると、その分自身が受け取る相続財産が減ってしまうためです。

    ②遺産分割調停を申し立てる
    遺産分割協議で寄与分が認められず、話がまとまらなかった場合は、家庭裁判所に対し、遺産分割調停を申し立てます。これは寄与分を定める処分調停として、家事事件手続法244条に定められています。

    調停委員が共同相続人の間に入り、遺産分割協議を進めます。遺産分割調停の申し立ては、共同相続人であれば誰でも申し立てが可能です。

    ③寄与分を定める処分審判を申し立てる
    遺産分割調停で話がまとまらない場合は、裁判で決着をつけます。これは寄与分を定める処分審判と呼ばれ、民法第904条の2第2項や家事事件手続法第39条、別表第2第14の項などに定められています。

    審判は寄与分を主張する人自身、ここでは夫のみが申し立てできます。寄与分を主張する証拠と共に書面で提出する必要があります。同時に、遺産分割審判の申し立てが必須です。すでに申し立てをしている場合はこの限りではありません。

    ここで注意点ですが、調停で話がまとまらなかった場合、放置してはいけません。遺産分割は共同相続人全員の合意が必要なため、放置すると遺産相続の手続きが止まってしまいます。寄与分の主張をあきらめるのか、もしくは審判にゆだねて主張するのかの意思決定を行いましょう。

    他の相続人たちからすれば、自らの相続財産の割合に影響するため、寄与分に主張があった場合、決着までに難航することが予想されます。調停委員もしくは裁判官の目から見ても、寄与分を認めて差し支えないと判断できる証拠を書面で提出する必要があります。

    また前述した通り、寄与分が認められる事例は複数あり、それぞれにポイントが異なります。過去の判例などを分析し、主張する必要がありますので、弁護士などに相談するのが得策です。

  3. (3)平成30年民法改正の影響

    平成30年7月の民法改正で特別寄与料の請求権が創設されました。従来、寄与分を主張できるのは共同相続人だけでしたが、被相続人の親族が、無償で被相続人の療養看護等の労務を提供したことによって、被相続人の財産の維持又は増加に特別な寄与をした場合に、相続人に対して特別寄与料の請求を行うことができることが法律上規定されたのです。

    これにより今回のような夫の親が亡くなった場合、妻にも特別寄与料として寄与分の請求ができるようになりました。ただし特別寄与料に関しては、期限が設けられています。相続の開始および相続人を知ったときから6ヶ月を経過したとき、または相続開始の時から1年を経過したときは請求ができなくなる点にご注意ください。

    不明なことがあれば、早い段階で弁護士に相談することを強くおすすめします。

3、まとめ

共同相続人ではない立場で寄与分を主張することは、おこがましいと感じる人もいるかもしれません。しかし、被相続人に対して貢献してきた事実があるのであれば、気後れすることなく主張しましょう。

平成30年の民法改正により社会的にも認められる立場になった今、事例に適応した証拠を提示することで寄与分が認められる可能性はあがっています。

寄与分の主張を考えている方は、あきらめる前にベリーベスト法律事務所・川崎オフィスで相談してください。相続問題についての知見が豊富な弁護士が、適切に寄与分を受け取れるよう力を尽くします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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