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パパ活は犯罪? 未成年では児童買春など違法行為になることもある

2021年06月21日
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パパ活は犯罪? 未成年では児童買春など違法行為になることもある

神奈川県警少年育成課は、SNS上のパパ活に関する書き込みをパトロールしており、パパ活とみられる18歳未満の女子の書き込みに対し、「このツイートは児童買春などの被害につながるおそれがあります。見ず知らずの相手と会うことは重大な事件に巻き込まれるおそれがある大変危険な行為です」と直接返信しているといいます。

性的関係を持たないパパ活には、お小遣い稼ぎをしようと安易に手を出す少女は少なくありません。しかし、だからといって男性側がその求めに応じて少女に会うと、場合によっては犯罪になってしまうこともあります。パパ活はそもそも犯罪になるのでしょうか。また、犯罪になるとするとどのような罪に問われるのでしょうか。

1、パパ活は犯罪になる可能性がある?

  1. (1)パパ活自体は違法ではない

    パパ活とは、若い女性が、経済的な余裕のある中高年の男性とデートなどをするかわりに経済的な援助を受けることです。昔でいうところの「援助交際」に近い行為と言えます。パパ活で行われるのは食事や映画、ショッピングなど短時間のデートであり、性交渉をともなわないことが特徴です。1回あたりのデートで得られるお金は1~2万円前後と高額で、性交渉の必要がないため、気軽にできるお小遣い稼ぎとして手を出す女性が多いのです。

    中高年の男性が若い女性とデートをすることは、法にふれることではありません。そのため、パパ活自体は違法ではないのです。

  2. (2)「売春」「買春」をすると違法行為に

    しかし、パパ活の内容によっては違法となることがあります。たとえば、性交渉を伴った場合、いわゆる「売春」「買春」をしたときです。売春防止法第3条では、「何人も、売春をし、又はその相手方となつてはならない。」と規定されており、売買春は違法です。しかし、売買春行為自体には罰則が無く、主に売春する側の勧誘行為・客待ち行為・あっせん行為などが処罰の対象となっています(売春防止法第5条1号など)。したがって、買春をしたほうは基本的に売春防止法上では処罰されません。ただし、男性側がSNSや出会い系サイトなどで性行為を前提にパパ活したい女性を募集した場合は、売春のあっせんなどにあたり得るため、男性側が売春防止法違反で処罰される可能性があります。

  3. (3)相手方が未成年の場合は罰せられる可能性がある

    パパ活は原則として性的関係を持たないものですが、相手方が20歳未満の未成年女性の場合、男性側は性交渉をしなくても罰せられる可能性があります。たとえば、「お小遣いをあげるから」と言葉巧みに未成年の女子を誘い、車で連れまわしたりすれば、未成年者誘拐罪にあたり刑事処分を受けることも考えられるでしょう。たとえ未成年者の同意があったとしても、刑事責任は免れません

2、パパ活したのが未成年だった! 児童買春の罪と量刑とは?

パパ活で会った相手が未成年だった場合には、罰せられる可能性があることは先ほど触れました。未成年、特に18歳未満の少女と身体の関係を持ってしまうと児童買春にあたり、処罰の対象となる可能性がありますが、具体的にはどのような罪にあたるのでしょうか。

  1. (1)児童福祉法違反

    児童福祉法第34条1項6号には何人もしてはならない行為として、「児童に淫(いん)行をさせる行為」をあげています。ここでいう児童とは18歳未満のことをさします。たとえ相手方と合意の上でも、相手との力関係を利用して18歳未満の児童と性行為もしくはそれに類するような行為をすると児童福祉法違反となります。児童福祉法違反は、10年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金もしくはその両方に処せられる可能性があります。

  2. (2)児童買春・ポルノ禁止法違反

    18歳未満の少女に対価を支払って性行為もしくはそれに類する行為をした場合は、児童買春・ポルノ禁止法で禁止されている児童買春罪にあたる可能性があります。性行為のみならず、性的欲求を満たすために児童の性器に触れたり、児童に自分の性器などを触らせたりする行為もこれに含みます。このような児童買春・ポルノ禁止法違反にあたる場合、5年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金に処せられます

  3. (3)各都道府県の青少年健全育成条例違反

    各都道府県には、青少年の健全な育成と保護を目的として青少年健全育成条例またはそれに類する条例が定められています。神奈川県には、神奈川県青少年保護育成条例があり、青少年との性行為等について以下のように定められています。

    第31条 何人も、青少年に対し、みだらな性行為またはわいせつな行為をしてはならない。
    2 何人も、青少年に対し、前項の行為を教え、または見せてはならない。


    前者に違反した場合は2年以下の懲役又は100万円以下の罰金、後者に違反した場合は1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられる可能性があります

  4. (4)相手が未成年と知らなかった場合でも罪に問われるか

    では、パパ活の相手が未成年と知らずに性行為などをしてしまった場合はどうなるのでしょうか。「相手がウソの年齢を言った」などの理由で、客観的に相手が未成年であると判断しようが無かったときは、その事実が明確であれば罪に問われることはないでしょう。しかし、相手が年齢を偽っていても、身につけているものや会話の内容から18歳未満であることを推測できることもありえます。その場合は、「未成年であることを知らなかった」と主張しても逮捕され刑罰を受ける可能性があります。

3、相手が成人でも、強制わいせつ罪や強制性交罪が成立する可能性がある

パパ活の相手が成人であれば性交渉をしてもよいのかと言えば、そうではありません。相手が成人の場合でもさまざまな罪が成立しうるのです。

  1. (1)相手が成人の場合に成立しうる罪 ①:強制わいせつ罪

    相手が成年の場合は児童買春・児童ポルノ禁止法や児童福祉法違反、未成年者誘拐などで罪に問われることはありません。パパ活は性交渉を伴わないデートが一般的ですが、相手方に金銭を支払って身体の関係になったとしても相手方が成人の場合は罰せられることはないでしょう。

    しかし、成人の相手でも暴力をふるったり「だれかに言ったら殺すぞ」などと脅迫したりして相手にわいせつな行為をした場合は、強制わいせつ罪が成立する可能性があります。強制わいせつ罪は6か月以上10年以下の懲役に処せられます。

    ちなみに、相手にお酒や薬を飲ませて意識のないまたは抵抗できない状態でわいせつな行為をした場合は準強制わいせつ罪となります。この場合も、強制わいせつ罪と同じく6か月以上10年以下の懲役に処せられます。

  2. (2)相手が成人の場合に成立しうる罪 ②:強制性交等罪

    暴力をふるったり脅迫したりして、相手に対して性交や、肛門性交・口腔性交等の性行為に類似した行為をしたときは強制性交等罪となります。以前は「強姦罪」という名称でしたが、2017年の刑法改正で「強制性交等罪」に罪名が変更されました。被害者が女性の場合のみならず、男性の場合にも適用されるようになり、「性交」についても、肛門性交も口腔性交も対象とされるようになったのが大きな変更点です。強制性交等罪が成立する場合、5年以上の有期懲役に処せられます。

  3. (3)民事では損害賠償請求される可能性も

    パパ活をした相手が既婚者だった場合、性行為をしてしまうとその配偶者から損害賠償を請求される可能性があります。配偶者ではない女性(男性)と肉体関係を持つことは不貞行為にあたります。不貞行為は民法第709条の不法行為にあたるので、不貞行為をすると不法行為に基づく損害賠償責任を負うのです。相手が既婚と知らなかったとしても、そのことに過失があった場合には損害賠償をしなければなりません。また、相手が未婚の場合でも、パパ活相手と性行為をすれば自分の配偶者(妻)から同じように損害賠償請求されることもありえます。

    過去には、「クラブの女性との性交渉は単なる性欲の解消が目的であり夫婦関係を壊すものではない」という判決が出たこともあります(東京地判平26・4・14 判タ1411号314頁)。しかし、これはあくまでも例外的なケースなので、パパ活によって損害賠償請求される可能性は十分にあると考えてよいでしょう。

  4. (4)脅迫目的で告訴されることもある

    相手が成年でも未成年でも、「真剣交際のつもりだった」「相手とは合意の上だった」と思っていたにもかかわらず、パパ活の相手の女性から強制わいせつ罪や強制性交等罪などで告訴される可能性もあります。これは、女性側が男性を脅迫することを目的として行うことも少なくありません

    また、同じ相手とパパ活を重ねていくことで恋愛感情が芽生えてしまうことがあります。そのあとに、この関係性を終わらせようとしてもパパ活相手の女性から「別れるならパパ活していたことを家族にばらす」「手切れ金を払え」などと脅迫されるようなトラブルが起こることも考えられます。そのようなときは早めに弁護士に相談されることをおすすめします。

4、自分のパパ活行為が犯罪かどうか不安な男性が、弁護士に相談するべき理由

ほんの出来心でしてしまったパパ活でも、「未成年ではないものの相手と性行為をしてしまった」「未成年と食事に行ったが罪に問われるだろうか」と心配になることもあると思います。その場合は早めに弁護士に相談するとよいでしょう。

  1. (1)罪に問われるか判断してもらえる

    先述のとおり、未成年相手に性行為をすれば何らかの罪に問われる可能性が非常に高いうえ、たとえ成人相手であっても内容によっては犯罪になる場合もあります。弁護士に相談すれば、自分のしたことが罪に問われることであるかどうかを判断してもらえます。犯罪ではないことがはっきりすれば、安心してもとどおりの生活が送れるでしょう。犯罪に当たる場合でも、これからどのように対応すればよいか考案してもらえるでしょう

  2. (2)取り調べ時の受け答えの仕方をアドバイスしてくれる

    ついうっかり未成年とパパ活の延長線上で性行為もしてしまった場合などは、警察に逮捕されることが十分にありえます。逮捕されると48時間以内に取り調べを受けますが、弁護士がついていれば、不利にならないような受け答えの仕方についてアドバイスしてくれます

  3. (3)早期釈放や不起訴処分になる可能性がある

    逮捕されて取り調べを受けている間、弁護士はできるだけ早く被害者のもとへ出向いて示談交渉を開始します。示談を成立させられれば、被害届や刑事告訴を取り下げてもらえる可能性が高くなります。その結果、送検される前に釈放されたり、送検されても不起訴処分を勝ち取れることも期待できるでしょう。

  4. (4)刑が軽くなる可能性がある

    残念ながら起訴されて実刑を免れない状態になっても、弁護士のサポートを受ければ刑期が短くなったり、執行猶予付きの判決が得られる可能性があります。弁護士が粘り強く被害者と示談をしたり、被告人が反省の意を十分に示していることを主張することで、裁判官の心証を良くすることができます。その結果、裁判官に「情状酌量の余地あり」と判断してもらえることが期待できるのです。

5、まとめ

パパ活は性的な関係を持たない分、気軽にお小遣い稼ぎができることを理由に安易に手を出す若い女性が少なくありません。その誘いに乗って本来のパパ活をする分には罪に問われることはないでしょう。しかし、パパ活の内容によっては犯罪に当たる可能性もあります。
ベリーベスト法律事務所 川崎オフィスでは、パパで逮捕されてしまった男性からのご相談を受け付けております。自分のしてしまったことに不安をおぼえた方は、一度当事務所までご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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