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会社に出勤強要された! 無理やりにでも出勤しなければならない?

2023年09月07日
  • その他
  • 出勤強要
会社に出勤強要された! 無理やりにでも出勤しなければならない?

神奈川県庁が公表する「令和4年度 神奈川県労働相談の概況」によると、令和4年度の労働件数は1万1727件で、前年度から1065件減少しました。
相談内容の上位は、解雇・雇止め・退職、職場の人間関係、労働時間とのことです。

休日や始業前に出勤強要をされたり、ケガ・病気などの理由があるなかで「出勤しろ」といわれたりすることに悩んでいる労働者も少なくありません。

本コラムでは、会社が出勤強要をしてくるとき、どのように対処すべきなのかについて、ベリーベスト法律事務所 川崎オフィスの弁護士が解説します。

1、労働者の義務とは

会社と雇用契約を結んだ労働者には、正社員・パート・アルバイトなど雇用形態を問わずさまざまな義務があります。

  1. (1)労務提供義務

    まずは、雇用契約を結ぶことで、労働者には使用者の指揮命令下で労務を提供する義務があります。それと同時に、使用者側には雇用契約書で定められた期日にあらかじめ約束していた賃金を支払う義務が生じます。

  2. (2)誠実労働義務

    労働者は就業規則などのルールを守り、誠実に仕事をしなければなりません。これを誠実労働義務といいます。ただし、労働者は労働契約で定められた債務の本旨にしたがって労務を提供することが必要です。たとえば、営業職として入社したのに、事務仕事ばかりしていても債務の本旨に従った労務とはいえないでしょう。

  3. (3)職務専念義務

    勤務時間中は職務に専念すべきであり、みだりに私語などの私的な行為をしたり職場を離れたりすることは認められません。もし手が空いていたとしても、暇だからといってネットサーフィンをしたり、居眠りをしたりすることはできないのです。また、労働組合の組合員が組合のバッジをつけて仕事をしたり、政治的な主張を掲げたものを身につけて仕事をしたりことも制限されています。

  4. (4)企業秩序維持義務

    業務時間中は、少々理不尽な思いをしたとしても、上司の命令には従わなければなりません。上司の命令に従わず、身勝手にふるまうと企業内の秩序が維持できなくなるためです。そのため、上司に出勤を命じられているのであれば、出勤する義務があるといえるでしょう。ただし、違法性のある命令やあまりにも不合理な命令については、使用者側の権利濫用にあたるとして、労働者は拒否することができることがあります。

2、会社から出勤を強要されるケース

会社側は労働者に出勤を命じる権利があります。しかし、労働者側が出勤できないようなときにまで出勤を強要するのは、違法になるケースがあります。ここでは、どのようなときに出勤を強要されうるのかについて見ていきましょう。

  1. (1)ケガ・病気で休んでいるときに出勤強要された

    労働契約法第5条では、会社は労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をする義務を負うことが定められています。ケガや病気で療養中のときに出勤を強要されると、無理をして容体が悪化する可能性がありますので、労働契約法違反になる可能性があります。

    また、労働者がインフルエンザなどの感染症にかかって休んでいるのに出勤を強要した場合は、まわりに感染させて上司や同僚の健康をおびやかす可能性もあります。そうなると、使用者は労働契約違反のみならず労働安全衛生法上の安全配慮義務違反に問われる可能性もあります。

  2. (2)始業時間前に出勤するよう強要された

    たとえば始業前に掃除やラジオ体操をするので始業時間の30分前に出勤するよう強要されるケースもあります。しかし、このように始業時間前に掃除やラジオ体操への参加を強制されている場合は、その時間も労働時間になります。早く出勤した分の早朝出勤手当などの手当や残業代を支払われていなければ、労働基準法違反となる可能性があります。

  3. (3)休日出勤を強要された

    休日の直前になって上司から急に休日出勤を命じられ、やむを得ず出勤することもあるでしょう。しかし、労使間で36協定を結んでいなければ、休日出勤させると労働基準法違反になります。また、就業規則に休日出勤に関する規定がなかったり、「休日出勤はさせない」と明確にうたっていたりする場合も、休日出勤を強要すると違法になる可能性があります。
    また、平日にすでに週40時間以上働いている・法定休日に働くなどの場合は、賃金が割増になることも知っておきましょう。

  4. (4)自然災害時に出勤を強要された

    台風が接近していて天候が荒れているときや、大きな地震があったときに出勤を強要されることがあります。このようなときに無理に出勤すると、暴風で何かが飛んできたり、頭上から割れたガラスやがれきが降ってきたりしてケガをするかもしれません。そのように身体や生命に危険が及ぶ場合は、会社側に出勤強要されても、命令に必ずしも従う必要はないでしょう。

  5. (5)指定感染症の流行時期に出勤を強要された

    指定感染症が流行している時期に出勤を強要されるケースを考えてみましょう。過去には、コロナ禍の緊急事態宣言が発令されていたときでも出勤を強要されたという方も多いのではないでしょうか。

    この場合、在宅勤務ができる職種であるにもかかわらず出勤強要された場合、会社が感染症対策をしておらず、時差出勤も認めていなければ、出勤を拒否できることがあります。在宅勤務ができない職種の場合は、時差出勤や時短勤務などの措置を会社側に要望したにもかかわらず会社側がこれに応じないときは、出勤を拒否できる可能性があります。

3、出勤を強要されたとき労働者がすべき対応

出勤強要される理由はさまざまなものがありますが、理由別に以下のように対応するようにしましょう。

  1. (1)ケガ・病気のとき

    まずは病気やケガで出勤ができない旨を伝えます。医師の診断書が必要であれば、病院で診断書を書いてもらいましょう。それでも出勤するように強要されたら、「出勤強要が安全配慮義務違反にあたるので休ませてほしい」と交渉します。どうしても仕事をする必要があるなら、在宅勤務や時差出勤を認めてもらえるようにしましょう。ちなみに、いわゆる季節性インフルエンザでなく、新型インフルエンザに感染した場合は、そもそも感染症法で就業が制限されますので出勤はできません。

    出勤強要されてケガや病気が悪化したり、療養が長期化したりした場合、出勤強要との因果関係が認められれば不法行為責任に基づく損害賠償のほか、治療費や休業補償、慰謝料の請求ができます。

  2. (2)始業時間前に出勤するよう強要されたとき

    会社から始業時間前に出勤するよう命じられている場合は、早出した時間が労働時間にあたる可能性があります。労働時間とは、会社の指揮命令下に置かれている時間のことです。したがって、朝礼や着替え、掃除、ラジオ体操、会議などのために早出した時間は労働時間にあたり、この時間分の残業代を請求することができます。
    平成29年には、スズキ自動車が始業前の朝礼やラジオ体操の時間が賃金未払いになっていたとして労働基準監督署から是正勧告を受け、従業員約500名に計約1000万円を支払いました。

  3. (3)休日出勤を強要されたとき

    会社側が労働者に休日出勤を命じることができるかどうかは、就業規則や雇用契約書に記載があります。そのため、休日出勤命令に疑問をもったときは、就業規則や雇用契約書を確認しましょう。就業規則はだれでも見られる場所にあるはずなので、わからない場合は総務部などの担当部署に問い合わせます。また、36協定を結んでいない場合はそもそも法的に休日出勤ができないので、あわせて36協定の確認も必要です。

    合理的な理由がないのに休日に出勤強要することは、パワハラにあたることもあります。
    令和2年6月に施行されたパワハラ防止法では、パワハラは以下のように定義されています。

    1. ①優越的な関係を背景とした言動
    2. ②業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
    3. ③労働者の就業環境が害されるもの


    そのため、緊急性や合理性がないのに休日出勤を命じられることによって、その従業員の就業環境が害されている場合はパワハラであるといえるのです。

  4. (4)自然災害時に出勤を強要されたとき

    災害時に出勤を強要されたら、交通事情や道路状況に応じて出勤命令に従うべきかどうかを判断しましょう。

    ①通勤途中で引き返す
    自宅周辺には危険がなくとも、電車が途中で運転を見合わせたり、乗り換えた先の電車やバスが運休したりしていることもありえます。交通機関のダイヤがマヒしているときや、会社に行こうとすると身体・生命に危険が及ぶと予想されるときは、無理せず引き返しましょう。

    ②自宅待機する
    交通機関がストップしていることがあらかじめわかっている場合や、自宅周辺が危険な状態な場合は、自宅待機する方法もあります。ただし、自宅にいると水害や建物の倒壊などの危険がある場合は、早めに避難所などに避難しましょう。

    ③欠勤あるいは有給休暇とする
    大地震や水害、竜巻などで自宅が被災した場合は、しばらくの間欠勤または有給休暇を取得して休むこともやむを得ないでしょう。ただし、会社も被災している場合は有給休暇とできない可能性もありますのでよく確認しましょう。

4、解決方法別! 労働問題を相談すべき場所

出勤を強要されたときは、泣き寝入りせず、だれかに相談しましょう。しかし、どこに相談すべきかわからない方もいると思います。そこで、出勤強要をはじめ労働問題について相談できる場所について紹介します。

  1. (1)社内体制を是正してほしいなら労基署

    出勤強要するような社内体制を行政側から監督し是正してほしいなら、労働基準監督署(以下「労基署」)に相談するとよいでしょう。労基署はさまざまな労働問題について話を聞いてくれますが、このとき「相談しに来た」ではなく「申告しに来た」と告げるのが重要です。「相談」では話を聞くだけで終わってしまう可能性が高いからです。「申告」というと、労働基準法違反の事案があると認められれば、実際に臨検と呼ばれる立入調査や行政指導をしてくれる確率が上がります。そのためには、今までの経緯を簡単に書いたメモや出勤を強要されたことを示す資料(メールの文章や音声記録)を持参の上、担当者に話をすることが大切です。

  2. (2)団体交渉したいならユニオン

    また、ひとりでも加入できる外部の労働組合である「ユニオン」で相談することも可能です。ユニオンは長時間労働や不当解雇、未払い残業代、ハラスメントなどの労働問題の是正に取り組んでいる団体です。相談者の勤務先に対し、相談者に代わって団体交渉をする、労働基準監督署に申告することで問題を是正してもらうよう働きかける、問題を広く世の中に知ってもらうために情報発信を行うなどの活動をしています。ここに相談することで、会社側と交渉して和解し、問題解決を図ることができます。

  3. (3)ほかに労働問題があり損害賠償請求したいなら弁護士

    出勤強要されているほか、日頃から上司にパワーハラスメントを受けていたり、サービス残業をさせられていたりするなどの問題もある場合は、弁護士に相談しましょう。

    弁護士は今の状況をヒアリングして、どのような問題が起きているか整理した上で、問題を解決すべく相談者に代わって会社側と交渉を行います。複数の労働問題が複雑に絡み合っていても、弁護士が対応することで解決できる可能性が高くなります。もし交渉が調わなくても、引き続き労働審判や裁判で解決を目指すことも可能です。

5、まとめ

会社側は従業員に出勤を命じる権利がありますが、不合理な理由であるならば、必ずしもその命令に従う必要はありません。合理的な理由のない出勤強要は、違法である可能性があります。

「パワハラやサービス残業もあるし、こんな理由で出勤を強要するのは、違法ではないのだろうか」と判断に迷うことがあれば、弁護士への相談がおすすめです。

ベリーベスト法律事務所 川崎オフィスでは、出勤強要やパワハラなどの労働問題でお困りの方のご相談を受け付けています。おひとりで悩まず、まずはお気軽にご相談ください。弁護士が親身になって対応いたします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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